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2011年2月17日木曜日

北朝鮮について真剣になるべき時 フォーリン・ポリシー 2010年12月13日

他の人が訳したものの転載 途中を省いています。中国に圧力をかけても無駄と書いている。

ジョエル・ウィット 元米国務省朝鮮担当官

 ピョンヤンを無視するオバマの政策は立証済みの失敗である。今は、違った戦略を試みる時である。

 ジェームズ・スタインバーグ米国務副長官が北朝鮮の最近の挑発行為について議論するため北京に向かったが、外交政策に関する著名な二人の専門家の古い言葉を引用したくなる。ヨギ・ベラは「これは、またしても、以前に見たことのあるような錯覚である」と述べ、アルバート・アインシュタインは「精神異常とは、何度も同じことを繰り返して違った結果を期待することである」と述べた。
 誤解しないでほしい。北の最近の南朝鮮領土への砲撃に対しては、米国、南朝鮮、日本が新たな朝鮮戦争を引き起こさない範囲内で、可能な限り強硬な対応をする必要がある。それは結果として、さらなる軍事演習、ピョンヤンを糾弾する声明、より緊密な三国間協力の約束、この地域への統合参謀本部長の派遣、そして軍事演習など、今後さらに緊密に連携していくことへとつながる。すべては、米国が北朝鮮に対して本気であることを示し、中国に対して北朝鮮を制御するように圧力をかけるためである。

 しかし、それらはうまく行くだろうか?天安号の沈没後、この夏に行われた合同軍事演習は、その後今回の砲撃のような攻撃を阻止することを想定して行われたのではなかったのか?これは米国がそのような措置-あるいは通常戦力防衛向上のためのその他の措置-を取るべきではないという意味ではない。しかし、米国の外交官たちはうぬぼれてはならない。

 50年という歴史は、純粋な論理ではないとしても、米国と南朝鮮があえて危機を拡大しようとはしないであろうということを金正日に対して語ってきた。最近、機密指定を解除された1969年に起きた北朝鮮によるいわれのない米スパイ機EC-121の撃墜に対していかに対応するかを検討したリチャード・ニクソン政権についての文献を読んでみるがいい。この撃墜によりすべての乗組員が死亡した。強硬に対応するというニクソンの初期の衝動は、ピョンヤンとの戦争でワシントンとソウルが失うものがあまりに多いという認識のもと、時間が経つにつれトーンダウンした。

 また、中国が北朝鮮を服従させるであろうという考えも間違っている。北京はたぶん、水面下で天安号の沈没後の時のように自制するようピョンヤンに働きかけているであろう。しかし、中国がすべきすべてのことは、ピョンヤンに言うことをきかせることであると考えるのは間違いである。ピョンヤンと幅広くつながる潜在的なテコを働かすことは極めて難しい。部分的ではあるが、その訳は有能な北朝鮮指導者は誰も北京の意のままにはならないからである。

 中国に公然と圧力をかけることも有益ではない。中国の指導者たちは、米国がそうすべきと言うからといって、北朝鮮の安定という核心的国益を放棄したり、北朝鮮を見捨てようとはしないであろう。ましてや米国の影響力には限度がある。米国、南朝鮮、日本の緊密な外交的・軍事的協調による威嚇が北京を変えることはないだろう。むしろワシントンの真の意図は、ただピョンヤンに厳しく対応するだけでなく中国を包囲し封じ込めることにあるとする中国の強硬派たちの主張に拍車をかけ、結果的には逆効果になるであろう。

 これらすべては、より大きな問題を映し出している。オバマ政権の「戦略的忍耐」という政策-政治的、経済的に不安定な北朝鮮は封じる込めることができるという間違った前提に立ってピョンヤンへの関与を拒むこと-は、災難が起きるのをしばらく待つというものであった。これは、現状の危険よりもはるかに大きいようにみえる北朝鮮と対話するリスクを伴いながら国益を守ることよりも、プロセス(同盟国との緊密な連携のもとで核問題解決のための6者会談の完全無欠性を維持すること)と国内政策(共和党からの批判を回避すること)に執着した政策である。

 しかし、北朝鮮を扱った経験のある人は誰でも北朝鮮を圧力だけでて封じ込めることができないことを知っている。戦略的忍耐は、朝鮮半島に平和と安全を築き、北朝鮮の核プログラムを食い止め、最終的には除去し、核兵器技術の拡散を止めるすべての面で失敗している。今春起きた天安号沈没によって最初に誇示されたように、失敗の兆候は、最近の悲惨な砲撃とピョンヤンが突然公表した新たなウラン濃縮プログラムとともに明確で紛れのないものとなった。

 米国が政策を変えなければ、数ヶ月後には自国と同盟国の利益への脅威はさらに高まるであろう。さらなる挑発とエスカレーション、そして戦争の可能性さえある。
 同様に危険なのが、ピョンヤンが自国の核兵器備蓄を著しく拡大させる入り口に立っているということである。今までは、北朝鮮が核兵器10個以下という少ない備蓄で満足しているようだという主張が可能であった。しかし、核兵器を保有し「最低限の抑止力」に満足したかに見えたすべての国のように、それはすぐに無視される可能性がある。北の新たなウラン濃縮プログラムは、私たちがこのような拡大の瀬戸際にあるという明確な兆候である。

 北朝鮮にとっての次の明確ステップは、寧辺にある5メガワット級の原子炉の再稼動と、処理されていない残りの14,000本の燃料棒(これらは、今後数年間で現在ある備蓄の少なくとも倍に当たる量のプルトニウムを含む)の再処理である。私が仲間数人を伴って11月中旬にピョンヤンを訪れている間、北朝鮮はそのようなことを示唆していた。挑発的な新たな核実験とさらなるミサイル実験は進行中であるかもしれない。もし北のウラン濃縮が妨げられることなく継続された場合、核の輸出の危険も拡大するであろう。

 米国の国益に反する失敗したアプローチで、つまずきながら進むよりも、米国には国益を守るための現実的な戦略が必要である。私の仲間であるロバート・カーリンとジョン・ルイスは最近ワシントン・ポストで、米国は対北朝鮮政策を見直す時であると主張した。私はこの意見を賞賛する。1990年代後半、ウィリアム・ペリー元米国防長官はそのような見直しを率先して進めた。これは米国の政策を正しい軌道に乗せるうえで重要な役割を果たした(不幸にも、再度活性化されたハイレベルな外交努力はジョージ・W・ブッシュの当選によって台無しにされた。その努力とは、南朝鮮、日本、中国の支持を得た上で、ビル・クリントン大統領がピョンヤン訪問し40年にわたる米国と北朝鮮の敵対関係に画期的な転換を図る展望であった)。

 政策見直しの主な目的は、現在の誤ったアプローチを捨て、ピョンヤンといかにつき合うかに関する新たな戦略を立てることであろう。それは次のような多くの問いに答えることであろう。この地域で米国の軍事態勢を強化するためにどうような追加的措置を取ることができるか?ピョンヤンが近い将来、自国の核プログラムを除去しそうにはないということを理解しながら、今後の挑発行為、北朝鮮の核脅威の増大、核輸出の危険を減らすうえで交渉がどんな役割を果たしうるか?米国と中国の国益がお互い根本的に異なる中、問題解決のためワシントンが北京といかに協力関係を再構築し、同時に米国の中国への依存をいかに減らせるか?いかに米国が間接的に北朝鮮で進行中の社会的変化(それは時間をかけて同国の人々と国際社会とを結び付けるうえで助けとなるかもしれない)を促していけるか?南朝鮮と日本は米国の政策においてどのような役割を果たすべきか?

 北朝鮮に関していうならば、たやすい道はない。しかし、戦略的忍耐がこれまでいかに機能したかの分析に基づけば、政策を変えないことは愚かなこととなろう。(“Time to Get Serious About North Korea,” By Joel Wit, December 13, 2010, Foreign Policy)

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