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2011年4月25日月曜日

カーターは金総書記に必ず会う 自伝から読み取れる彼の作戦とは

 ふと図書館で手にした本に、カーター大統領の自伝に1994年の訪朝が書かれていた。
この本の大半は、彼の信仰生活についてのものだが、なぜ北朝鮮と関わったかも記述されている。
 記録のために一部を転載しよう。

 興味深いのは、調停者としての原則の下り。問題を起こしていたとしても、中心人物とつきあえ、とある。

 この原則からいけば、今回は金総書記と会うはず、いや会わないのならいかないだろう。英語ではしばしば手づまり状態を、 stalemateというがまさに今がその状態。放置しておけば北朝鮮の濃縮ウランが増えていく。しかし、北朝鮮は過去の挑発について謝罪しそうにない。まさに打つ手なし。

カーター氏はまた歴史を作るのかもしれない。自伝によれば、カーター氏は、見かけによらず非常に我が強い。自伝の内容をめぐって、妻と再三衝突したという。おだやかな表情とは違う面がある。

 引用した本は「信じること働くこと」(新教出版)

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 1994年の間もない頃、世界に一つの深刻な問題が起きようとしていた。北朝鮮が核兵器に使用可能な高純度ウランを処理する計画を強硬に主張したのである。

国際原子力機関の査察官たちが北朝鮮から追放され、世界の関心を強く惹くことになり、アメリカは北朝鮮に対する制裁措置を課すため、国連の安全保障理事会に働きかけを始めた。

 三年前から北朝鮮の金日成主席は私に、自らの立場を説明したいからピョンヤンを訪問してくれと依頼していた。北朝鮮は戦争を始めるかもしれないと、中国関係の専門家たちから私は報告を受けていた。北朝鮮は、自分たちの国がならず者国家とされ、ほとんど崇拝にも等しく尊敬されている指導者の金日成が犯罪者の烙印を押されることを甘受できなかった。

アメリカ国務省は私の仲裁を喜ばなかったが、最終的にクリントン犬統領が私の尽力に許可を与えた。

 ロザリンと私はこちらの意図を先ず韓国指導者たちに理解してもらうために、ソウルヘ飛んだ。

それから非武装地帯を通過し、金日成その他の指導者たちと会うためにピョンヤンヘ赳き、そしてまた韓国に戻ったのである。こんな往復旅行をしたのは四十三年間で私たちが最初だった。

 ピョンヤンで金日成と膝を交えて何時間も話すうちに、危機を引き起こした食い違いを解決したいと彼が心から願っていることは明らかだった。彼は朝鮮戦争を勃発させた責任者であり、四十年以上も北朝鮮の人々を世界から完全に孤立させている共産主義の独裁者であった。

しかしその時彼は、目本の捕虜だったとき自分の命を救ってくれた宣教師たちの倫理的行為を激賞し、核燃料の処理を中止することを約東し、アメリカとの良好な関係を強く希望していると述べ、朝鮮戦争時に北朝鮮に埋葬されたすべてのアメリカ人の遺骨の返還を申し出た。

 合意書はワシントンに送信されただけでなく、CNNのテレビ放送を通じ世界中に知らされた。私たちの任務は申し分ない成功であるように思われた。

 不幸にして一か月も経たずに金日成は亡くなり、後継者に関する北朝鮮の不確実性もあって、彼の約束のいくつかは未だに果たされていない。こうした後退にもかかわらず、核開題その他の緊急課題を解決するための堅実な前進か見られる。しかし北朝鮮は未だに閉鎖的な社会であり、朝鮮戦争の記億は、戦争の損害を蒙った朝鮮半島をはじめアメリカその他の人々の間でなお、つらい恨みとなって残っている。

調停者の原則
 一、国際社会と紛争中のあらゆる立場の人々に、軍事力は最後の手段としてのみ行使されるとの基本前提に合意してもらうよう努めること。

 三、紛争の歴史および原因を徹底的に研究せょ。信任と信頼を築く基本として、早期の段階において紛争当事国の重要指導者や民間人との個人的なかかわりを活用せょ。

 五、互いに対面できない、あるいは対面しないであろう敵対者同士の間を行ったり来たりすることを覚悟せよ。

 六、間題を引き起こしている当該人物に関する有益かつ可能な情報をすべて調査せよ。

 七、彼らが孤立して別の団体や組織から非難されているとしても、どんな紛争でも鍵となる重要人物とは進んで付き合え。

1 件のコメント:

  1. 本をスキャナして、読み取ったため誤字がありましたが直しました。なお本文から一部を割愛しています。

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