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2011年7月31日日曜日

6か国協議再開の5条件 覚え書き

ニューヨークで開かれた米朝高位級会談は、日本の新聞の扱いはまちまちだった。読売、朝日は大きくページを割いたが、日経は小さな扱いだった。

ここ数日じっくりよみくらべると、各紙で違いがある。

今後6か国協議を開くための5条件が新聞にあったので転載し、そこから考えてみる。

朝日新聞よれば5条件は

1 ウラン濃縮活動の即時停止

2 国際原子力機関(IAEA)監視要員の復帰

3 2005年の六者協議共同声明の遵守

4 弾道ミサイル発射の留保

5 朝鮮半島休戦協定の遵守

だそうだ。

①濃縮ウランによる爆弾は、従来のプルトニウム爆弾と比べて小規模な施設で製造でき、活動が衛星写真で把握しにくい。海外移転の懸念も大きい。北朝鮮は昨年11月、米専門家にウラン濃縮施設を公開した。これは、関係国の危機をあおり、米国を交渉に引き込むのが狙いとみられる。北朝鮮は「(濃縮は)電力生産のための平和利用」と主張しており、即時停止に応じる気配はない。さらに、正確にどこで濃縮をしているのかも不明。関係筋は、この即時停止をサラミのように細かく分けて、食糧支援などを得る狙いではと疑っている。

②国際原子力機関(IAEA)査察要員は2009年4月に寧辺から退去させられた。ニューヨークでの米朝協議で復帰に含みを残したが、ウラン濃縮の進展を見せ、再度放逐する狙いもありそう。

③05年の6カ国協議共同声明は、北朝鮮が全ての核兵器と核計画の放棄を約束したと明記。しかし、その後北朝鮮が核放棄の検証に難色を示し、6カ国協議は08年12月以降中断したままだ。北朝鮮は、この声明の遵守は何回も言及しているが、行動を伴っていない。

④北朝鮮は09年4月、長距離弾道ミサイルを発射した。北朝鮮が弾道ミサイルヘの搭載が可能な小型核兵器を開発したとの見方もあり、脅威が高まっている。

⑤休戦協定は「敵対行為と武力行為を停止する」と明記しており、日米韓は、協定順守により昨年の延坪島砲撃のような挑発を防ごうとしている。一方、北朝鮮は休戦状態の危険性を強調し、米国との平和協定締結を求めており、平行線になっている。米国は赤字財政で、軍事費を増強できない事情があり、北朝鮮から足下を見られる可能性もある。

核実験中止が入っていないのは、ウラン濃縮の方が緊急性が高いと考えているためのようだ。

 

読売新聞はソウル電で、やはり5条件を挙げているが、朝日と微妙に違う。韓国政府の要望としている。

1 6か国協議の無条件復帰

2 核実験と弾道ミサイルの発射実験停止

3 ウラン濃縮施設へのIAEA査察受け入れ

4 6か国の場でウラン濃縮討議

5 寧辺核施設へのIAEA要員の復帰

 

朝日は日米韓は、1を重視していると書いている。読売は、韓国は、IAEAの査察を重視していると書いていた。

RFAも、韓国がウラン濃縮問題の解決を重視していると伝えている。

http://www.rfa.org/korean/in_focus/nk_nuclear_talks/uep-08022011111444.html

 

まず朝日から,今回の米朝協議で5条件がどう扱われたかについて記述した関連記事を拾ってみた。

6者協議再開の5条件、北朝鮮が拒否 米朝協議は継続へ

2011年7月31日 ニューヨークで28、29両日に開かれた米朝協議で、日米韓が求めるウラン濃縮活動の即時中止を含む6者協議再開の5条件の受け入れを北朝鮮が拒否したことがわかった。米朝双方が原則論を応酬して合意点は全くなかったが、協議の継続では一致したという。米国は北朝鮮との対話を続けることで、朝鮮半島の緊張を緩和したい考え。協議の長期化も視野に入れることで、経済の不振や権力継承問題などの課題を抱える北朝鮮側の譲歩を待つ戦略とみられる。 6者協議筋によれば、北朝鮮はウラン濃縮活動について平和利用の権利を主張。国際原子力機関(IAEA)査察要員の寧辺への復帰など、具体的な非核化措置に応じなかった。

産経も米国は、ウラン即時停止要求と見ている

29日の協議は昼食会も含む約3時間半に及び、双方の主張が包括的に提示されたという。米国側は、昨年11月に北朝鮮が公表したウラン濃縮活動の即時停止や国際原子力機関(IAEA)査察団の受け入れなどを要求したとみられる

読売の政治部の記事によれば、5条件にはウラン濃縮施設の即時停止が入っている。日本政府も支持している。

ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=白石洋一】松本外相は23日、クリントン米国務長官、金星煥キムソンファン韓国外交通商相とバリ国際会議場で会談し、北朝鮮が求める6か国協議の再開について、北朝鮮がウラン濃縮計画の査察受け入れなどの具体的な行動をとらない限り、応じられないとの認識で一致した。日米韓がこうした方針を明示したのは初めてだ。

 会談後、3外相が発表した共同プレス声明では、22日に再開された南北協議の継続・進展や、北朝鮮がウラン濃縮計画について具体的な行動をとるように求めた。 この具体的な行動について、日本政府筋は「ウラン濃縮施設の即時停止や国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れなどを想定している」と説明している。 昨年12月の共同声明には盛り込まれなかった北朝鮮による日本人拉致問題の解決について、今回の声明では「問題を解決するための行動」を北朝鮮に求める内容が明記された。(2011年7月24日01時33分  読売新聞)

読売は無条件で6か国協議に復帰を要求しているとあるが、他の報道を見ると、これはすでに北朝鮮は同意している。ただ、「前提条件なしの6か国再開」としており、むしろぐずぐず条件をつけずに、すぐ6か国を開け、と読める。すでに北朝鮮は読売が書いている5条件中の1つに合意したのだろうか。多少北朝鮮の姿勢の読み方の違いがあるようだ。

ロシア:北朝鮮「6カ国協議を前提条件なしに再開」を歓迎

 ロシアのラブロフ外相は22日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議が開かれているインドネシア・バリ島で北朝鮮の朴宜春外相と会談した。ラブロフ氏は会談後、記者団に対し、北朝鮮が同国の核問題を話し合う6カ国協議を前提条件なしに再開する用意を示したと述べ、歓迎する意向を表明した。国営ロシア通信が伝えた。(モスクワ共同)

読売の4番目の条件は、実はとっくの昔に北朝鮮は同意している。

2009年の報道を見てみよう。

2009年12月17日

6カ国協議で「ウラン濃縮」議題に 北朝鮮が応じたと米特別代表

 【ワシントン=弟子丸幸子】今月上旬に北朝鮮を訪れたボズワース米北朝鮮担当特別代表は16日、国務省で記者会見し、北朝鮮がウラン濃縮問題を核問題を巡る6カ国協議の議題とすることに同意したと語った。北朝鮮が朝鮮戦争の終結を意味する平和協定の締結交渉を求めたことについて「6カ国協議に戻る前に、我々が交渉することはない」と述べた。
 一方、ギブズ大統領報道官とケリー国務省報道官は同日の記者会見で、米紙ワシントン・ポストが報じたオバマ大統領による金正日総書記あての「親書」の存在を認めた。ケリー報道官はボズワース氏が北朝鮮の政府当局者に手渡したと説明し、文面について「北朝鮮を6カ国協議に復帰させるという訪朝目的を巡る内容だと考えられる」と述べた。
 ボズワース氏は米朝間の協議で(1)非核化(2)平和協定問題(3)経済・エネルギー支援(4)国交正常化(5)北東アジアの安全保障体制――を取り上げたと説明した。(14:01) 日経

最大の焦点はウラン問題といえる。

いずれにせよ、5条件は正式には公表されていない、もしくは明文化されてない。

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