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五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、北朝鮮の軍事関連報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください

2013年6月16日日曜日

人民武力部長には‘軍への命令権’ない 週刊東亜


http://weekly.donga.com/docs/magazine/weekly/2013/05/27/201305270500012/201305270500012_1.html

最近北朝鮮軍の分析であちこちに寄稿している金氏の寄稿文。軍の役割分担を丁寧に解説しているので、訳してみた。


金ドンヨプ北朝鮮大学院大学研究委員 donavyk@hanmail.net

金正恩体制スタート以後、軍首脳部の頻繁な要人交替が目に付きはじめ、主に新しく登場した人物の面々に関心が注がれている。

北朝鮮軍を‘戦闘する軍隊’に変化させようと、野戦指揮官(1軍団長)出身の張正男を人民武力部長に任命。

最近北朝鮮がミサイル発射を敢行した理由も、改編された人民武力部指揮部の性格と関連深いという見立てだ。

しかしこのような分析には説得力がない。

人民武力部長には実際に軍隊を動かす指揮権、いわゆる軍令権がないためだ。

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○戦闘勤務支援主軸の‘後方事業’担当

1969年、金日成は人民武力部長の前身の民族保衛省に対して“大きい部隊を動かすような軍事行動に対しては民族保衛省は命令できず、党中央委員会軍事委員会や、最高司令官の命令だけが可能だ”と言及したことがある。

正規軍に対する指揮権がない人民武力部長交替を、対南・対外強硬政策と関連して解釈するのはつじつまが合わない。

それでもこのような分析が相変らず大勢を成し遂げる理由はただ一つだ。

北朝鮮軍の構造と指揮体系に対する理解が不足するためだ。

1948年北朝鮮政権が樹立される時、民族保衛省でスタートした人民武力部は、72年12月社会主義憲法を採択した当時現在名称に変わった(1998~2000年人民武力省と呼ぶこともした)。

82年4月には政務院傘下から、中央人民委員会直属で所属が変わって90年以後には国防委員会の指導と統制を受けている。

相変らず軍の対外的な代表機能を遂行するが、過去に比べて、地位と機能が大いに弱まったし、特に後方事業(戦闘勤務支援)を主に担当するという点に注目する必要がある。

後方事業という軍人らに食品、衣類、油類、医療などを供給する事業全体を示す北朝鮮式用語だ。

人民武力部傘下部署の中で核心部署やはり、後方総局で補給品や軍需物資の支援、戦時対応備蓄物資確保および調達業務を担当する。

後方総局の他に人民武力部傘下主要部署では15局(技術総局)、水質検査局、総合計画局、対外事業局、軍事建設局、軍事検察局、軍事裁判局などがある。

名称だけ見てもわかるように、彼らは主に実際戦闘指揮と関連ない支援分野で限定された。

○韓国の体系に継ぎ合わせた解釈

人民武力部に初めから正規武力に対する指揮権がなかったことではない。
正確な時点は特定しにくいが通常呉ジンウ部長が死亡した1995年以後、総政治局と総参謀部を統制できなくなり、今の姿に変わったという評価が支配的だ。

実際に崔ヨンゴン、金クァンヒョプ、金チャンボン、崔ヒョン、オ・ジンンウを経て、97年2月死亡した崔光に至るまで歴代民族保衛相・人民武力部長は北朝鮮軍部の最先任者(最高実力者)であった。

現在まで民族保衛相・人民武力部長総11人の中で6人が総参謀長を経て任命された。

しかしこのように責任者の階級だけで人民武力部と総政治局、総参謀部の間の指揮体系を類推することはこれ以上根拠や説得力を持ちにくかった。

北朝鮮では人民武力という単語を‘党と革命、祖局と人民を保衛しながら、革命の障害物から元帥を守護するために労働者、農民、青年学生たちをはじめとする勤労人民大衆の息子娘で組織された武装力’と定義する。

‘正規的な武力と対比して言う単語’というものだ。

これに従うと民族保衛相と違い、人民武力部は正規武力、すなわち実質的な北朝鮮軍を除くと解釈することもできる。

1972年改称以前からすでに正規武力に対する指揮権で排除されたと見られる。

この前国内言論は、国防部長官の机に、‘ライバル’である北朝鮮人民武力部長写真が、合同参謀議長机の上には北朝鮮軍総参謀長写真が置かれているという記事が出たことがある。

こういう枠組みで見れば最近金格植人民武力部長の総参謀長再採用は国防部長官がまた合同参謀議長になったのと同じだ。

しかし南北国防長官会談をする時、人民武力部長が国防部長官のカウンターパートになるからといって、軍政権と軍令権を皆持った私たちの国防部と北朝鮮人民武力部を同じ水準で見ることはできない。

組織機能と権限、地位面でずいぶん違うためだ。

北朝鮮軍事指揮体系に対するこのような誤りと誤解は国防委員会、人民武力部、総参謀部、総政治局など軍事機構の機能と地位を正確に把握できなくて私たちの指揮体系の枠組みに彼らをそのまま代入しようとするためだ。

国防委員会は名目上最高国防指導機関だが、実際的に政策を決める機構ではない。

党中央委員会と党中央軍事委員会で決めた政策と方針を執行する国家機構だ。

したがって国防委員会傘下人民武力部は総政治局、総参謀部と外見上水平関係を維持するが、制限された権限と相対的に低い地位を占める。

軍内政治事業と軍幹部らに対する人事権など主要軍政権は、事実上総政治局が行使して、総参謀部は正規武力全般を指揮する軍令権を行使する。

人民武力部は軍の長、財政など制限された軍政権だけを行使しながら、形式的に対外的な代表性を持つだけだ。

これは同じ社会主義国家の中国国防部が動員や兵役など軍事力建設に関する軍政業務だけ担当する局務院直轄機構で、名目上国防代表機構に過ぎないという点とも似ている。

北朝鮮の軍事指揮体系は最高指導者の首領を頂点で党、国家いう3つに分れて、作動する。

党総秘書と党中央軍事委員長の党籍統制、最高司令官の作戦指揮統制、国防委員長の軍事行政および国防経済統制がそれだ。

金正恩はやはり朝鮮労働党第1秘書と党中央軍事委員長の肩書を持ち、主要軍事政策と軍幹部人事を決める。

軍隊の最高職責の最高司令官肩書では、軍隊を直接指揮あるいは指導しながら、国防委員会第1委員長肩書で国家軍事機構の人民武力部を指導する。

総政治局、総参謀部、人民武力部の特性と関係を明確に理解してこそ、最近北朝鮮軍首脳部の引き続いた交替に含まれた真意も、正確に把握できるはずだ。

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