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五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、北朝鮮の軍事関連報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください

2013年6月7日金曜日

朴大統領の韓半島信頼プロセスとはなにか

本当の狙いは、制裁解除と、韓国との対話と平行した米国との対話だろう。

 

 


中央日報、東亜日報など参考

.北朝鮮の発表
北朝鮮が南北当局間会談提案 共同行事にも言及

   
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮は6日、韓国に対し操業停止中の開城工業団地の正常化と金剛山観光再開に向けた南北当局間会談の開催を提案した。

 北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」は同日、報道官特別談話文を発表し、南北当局間会談の開催を提案したほか、必要であれば離散家族再会など人道的問題も協議する用意があるとした。

 同委員会は、特別談話文が「委任」に基づくものだと明らかにし、最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の指示があったことを示唆した。会談の場所や日時については、韓国側の都合で決めるよう伝えた。

 また、南北共同宣言(6・15宣言)13周年を記念する南北合同行事の実現のほか、南北共同声明(7・4共同声明)41周年を南北当局が合同で記念することも提案した。南北当局が民間団体と共に出席し6・15宣言と7・4共同声明の発表を記念することは意味が大きいとした上で、「北南(南北)関係改善に寄与するだろう」と伝えた。

 北朝鮮が1972年に当時の朴正煕大統領と金日成主席が調印した7・4共同声明に言及したのは、朴正煕元大統領が朴槿恵現大統領の父親であることを踏まえ、韓国から前向きな反応を引き出そうとする意図があると解釈される。

 談話文は、これまで断絶していた南北赤十字を結ぶ板門店の直通電話回線を再開する意思があることも明確に示した。

 韓国政府に対しては、開城工業団地正常化や金剛山観光再開に向け、韓国側企業の訪朝を認めるようあらためて求めた。

 さらに、韓国当局が真の信頼構築と南北関係改善を望むなら今回の機会を逃すべきではないと主張し、「われわれの大きな勇断と誠意ある提案に積極的に応えるべきだ」と強調した。

聯合ニュース

.韓半島信頼プロセスの主な内容

対話や人道支援を通じ南北の信頼構築を目指す政策で朴槿恵大統領がとなえる対北朝鮮政策のこと。

.3段階ある

大統領選陣営の外交安保チームは、韓半島信頼プロセスを3段階で説明した。

第1段階は北朝鮮に対する人道支援(食糧支援を含む)、第2段階は農業・造林など低いレベルの南北経済協力、

第3段階は交通・通信の大規模インフラ投資を主な内容とするビジョンコリア・プロジェクトだ。

第2段階までは非核化などの条件をつけず、政治状況と切り離して推進するということだった。

.信頼プロセスのモデルは?

3日、政府当局者によると、朴大統領は先月27日の外交部統一部合同業務報告で、「ドイツは北朝鮮と協力事業を進める時、互いの約束を北朝鮮が破ればそれ相応の措置を取り、北朝鮮に『ドイツとの約束は絶対に破ってはならない』という認識を持たせるようにした」と述べた。そして、「このように信頼が重要だ。一貫性を持って政策を推進し、北朝鮮が誤った時には『代価を支払う』と考えさせなければならない。北朝鮮が国際社会とした約束を必ず守るようにしなければならない」と強調した。金章洙(キム・ジャンス)大統領国家安保室長は、「一つでも約束を守らなければドイツとの関係が破綻するということを北朝鮮はよく承知しており、ドイツの北朝鮮支援は信頼を基盤にうまくいっている」と指摘した。

政権引き継ぎ委員会出身の関係者は、「ドイツの北朝鮮に対する人道支援と交流プログラムを通じて築かれた信頼関係についての言及だ」とし、「朝独関係は、韓半島信頼プロセスの基盤となる重要なケースだ」と強調した。ある当局者も、「北朝鮮が韓国や国際社会とした約束を守らず、これを正当化したり思いのままにさせてはならないという大統領の強い意志を示した発言だ」と説明した。

このため、外交部と統一部は、朝独関係の実際の事例を把握し、これを北朝鮮政策に適用する案を模索している。

政府関係者は、「先に善意で接し、朝鮮が約束を破って裏切れば相応の対応をし、善意で応えるなら協力を継続する『ティットフォアタット(tit for tat)』の相互主義の面が強い」と説明した。これは、ドイツの統一過程で西ドイツが東ドイツに取った協力方式と同じだ。ドイツ専門家の金英姫(キム・ヨンヒ)元駐セルビア大使は、「朝独関係は東西ドイツ関係を適用したものだ」とし、「西ドイツは東ドイツに経済支援し、東ドイツは東ドイツ住民の西ドイツ訪問の範囲を広げるなど、双方が互いに措置を取る方式で協力した」と強調した。そして、「ドイツは約束を守らない国とは外交関係を結ばない」と付け加えた。

朴大統領の「朝独関係ベンチマーキング」発言は、北朝鮮が2日、寧辺(ヨンビョン)の5MW級黒鉛減速炉の再稼働を宣言し、2007年の6者協議の合意を破った状況と関連するため注目される。大統領府関係者は、「政府はこれを当面の脅威よりも、北朝鮮が約束を守らなかったという点で深刻に受け止めている」と述べた。

外交部によると、ドイツは2001年に北朝鮮と国交を正常化して以来、05年に約170万ユーロ、06年に約120万ユーロ、08年に約255万ユーロを支援した。ある外交消息筋は、「ステファン・ドライヤー駐韓ドイツ文化院長が最近北朝鮮を訪れ、ドイツキリスト教民主同盟のユルゲン・クリムケ下院議員が5月、人道支援問題を話し合うために訪朝するようだ」と伝えた。http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2013040483788

.韓米首脳会談「韓半島信頼プロセス」に共感

 韓米同盟が新しい段階に入った。韓国の朴槿惠大統領と米国のバラク・オバマ大統領は7日の首脳会談で、韓米連携を再確認するとともに、同盟60周年を迎えた両国関係を包括的・戦略同盟からグローバルーパートナーシップに格上げすることで合意した。挑発を繰り返す北韓問題でも「抑止と対話」の原則で臨む方針を確認。強固な韓米関係を内外に示した。ただ、韓半島の緊張緩和につながる対北対応の道筋を示せなかったのは課題として残った。(ソウル=高正基)

 韓米首脳会談後の共同記者会見でオバマ大統領は、対話を通じ南北間の信頼醸成を図る朴大統領の対北政策「韓半島信頼プロセス」について、「同政策に十分共感できる」と述べた。オバマ大統領のこの発言は朴大統領の訪米で、「最大の成果」と政府関係者は評価している。米朝交渉を望む北韓に「南北関係の改善なしに米国との対話もなし」と圧迫できるカードを握ったことになるためだ。

 北韓は現在、ミサイル発射自制の動きを見せているものの、依然挑発と威嚇を続けている。唯一残された南北協力事業の開城工業団地への立ち入りを禁じたほか、韓米合同軍事演習に対する非難を強め、軍事的措置も警告している。韓半島の緊張を極限まで高め、米国を協議の場に引きずり出す狙いがあるとみられる。

 北韓の威嚇に備えた抑止力を堅持しながら、人道支援などで南北の対話の糸口を模索することを掲げる朴政権には相当のストレスだったに違いない。しかし、オバマ大統領から同政策への支持を得たことで、焦らずに北韓政策を展開できる環境をつくった。米国も非核化につながらない北韓の対話要求に疲れを感じていたはずだと、韓国政府関係者は指摘する。
 ただ、南北関係を改善させるきっかけをつくれなかったのは課題として残った。朴大統領が訪米中に強調した北韓政策は北韓が自ら変化することを前提としており、北韓が応じない場合、現在の局面が長期化しかねない。

.北朝鮮の反応は?


 【ソウル聯合ニュース】北朝鮮のメディアが、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)政権が掲げる「朝鮮半島信頼プロセス」(対話や人道支援を通じ南北の信頼構築を目指す政策)を本格的に非難し始めている。

 朝鮮中央通信は「対決と信頼は両立し得ない」と題した5月15日付の論評で、信頼プロセスは李明博(イ・ミョンバク)政権の「非核・開放3000」(北朝鮮が非核化して開放すれば、10年以内に1人当たり国民所得が3000ドルに達するよう支援する構想)と何ら変わるところはないと指摘。「失敗した過去の対決政策をコピーして持ち出した」と批判した。

 また、朴大統領が今月初めの訪米中に潘基文国連事務総長と会談し、信頼プロセスについて「北朝鮮の核を容認せず、挑発に対価を払わせるもの」と説明したことを取り上げ、「それ(信頼プロセス)が同族対決のシナリオであることをはっきり示した」と主張した。
 北朝鮮の核は米国の核の脅威に対し安全を保障するための物理的な手段だとした上で、「われわれに核武力の強化をはじめとする自衛的な対応手段を放棄しろと言うことは、オオカミに素手で立ち向かえと言っているのと同じだ」と強調した。

 これに先立ち12日には、北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」書記局の参事も宣伝用ウェブサイト「わが民族同士」記者とのインタビューで、信頼プロセスを李明博政権の北朝鮮政策の「コピー」だと批判した。

 北朝鮮メディアが朝鮮半島信頼プロセスへの断片的な言及にとどまらず、本格的に取り上げて非難し始めたのは、朴大統領の訪米を経て信頼プロセスの内容が具体化したためと分析される。

.「非核・開放3000」とはどんな内容か?

「非核・開放3000構想」とは、北朝鮮が核を放棄し経済を開放するという決断をした場合、国際社会と協力しながら北朝鮮が10年以内に1人当たりの国民所得が3000ドルになるよう支援するというもので、李候補の対北朝鮮政策の根幹となる政策構想だ。

  李候補は2月の記者会見でこの政策を初めて発表した。この日の記者会見では、この構想の実現に向けた具体的案を提示した。

  李候補は「北朝鮮の核問題を解決するためには‘徹底かつ柔軟な対北朝鮮政策’が必要」と強調した。 「北朝鮮の核武装を絶対に容認しないという原則は徹底的に守るものの、北朝鮮を実質的な核廃棄履行に導くための接近方法においては柔軟に対応しなければならない」ということだ。

  李候補は「非核・開放3000構想は‘核を放棄すれば経済がよくなるかもしれない’という希望を北朝鮮が抱けば、核問題の解決にも役立つ」と語った。

  李候補が経済・教育・財政・インフラ・福祉の5つの分野に分けて発表した対北朝鮮支援案には▽400億ドル相当の国際協力資金の確保▽400キロの新京義(キョンウィ)高速道路建設と大運河の連係▽北朝鮮地域内5大自由貿易地帯の設置と年間300万ドル以上の輸出企業100社の育成▽北朝鮮版KDI(開発研究院)とKAIST(科学技術院)の設立▽住宅・上下水道改善事業への協力--などが盛り込まれている。

  李候補は「諮問教授団がシミュレーションを行った結果、こうした構想が稼働すれば北朝鮮経済は輸出主導型に転換する」とし「毎年15-20%の成長が続き、10年後に北朝鮮経済は国民所得3000ドルに成長できる」と説明した。

  また「70歳以上の離散家族の自由往来を早期に実現させたい」とし「拉致被害者や国軍捕虜の送還を含むこうした人道的目的事業を実現させるためなら、過去の東西ドイツ離散家族再会や米軍遺体発掘事業のように送還者1人当たり十分な経済的補償を北朝鮮に行うことも可能」と語った。http://japanese.joins.com/article/431/88431.html?sectcode=200&servcode=200

.信頼プロセスの弱点は?

北朝鮮が核実験や韓国への軍事攻撃といった挑発で新政府を試そうとする場合には脆弱だという点が今回露呈した。韓半島信頼プロセスはそれに対する戦略的対策が不十分だ。北朝鮮のやり方を嫌う朴次期大統領が挑発に敏感に対応すれば、李明博政府の北朝鮮強硬策と似る可能性がある」という指摘があった。

大統領選陣営だった北朝鮮問題の専門家は、「北朝鮮が態度を変えず、危機造成→挑発→交渉のパターンを繰り返す限り、政府が主導的に南北関係を改善することは難しく、韓半島信頼プロセスの第一ボタンをかけることは困難だろう」と指摘した。http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2013020632858

.韓国の対応

【ソウル聯合ニュース】韓国統一部の金炯錫(キム・ヒョンソク)報道官は6日、北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」が提案した南北当局間会談を受け入れる考えを明らかにした。

 金報道官は「会談が、これまでという名で政府が幾度も強調してきた南北間の信頼を築くチャンスになるよう願う」と述べた。会談の時期や議題などは追って発表するとした。

 南北当局間の会談は2011年2月の南北軍事実務会談以来となる。

 北朝鮮は同日昼に祖国平和統一委員会報道官の特別談話を発表し、南北経済協力事業の開城工業団地正常化、金剛山観光事業の再開などを話し合う南北当局間会談の開催を提案した。

 青瓦台(大統領府)をはじめ統一部、外交部など関係官庁は同日、祖国平和統一委員会が報道官特別談話文を発表した直後、協議に着手した。

 統一部は同日午後、同部の柳吉在(リュ・ギルジェ)長官主宰の幹部会議を開催し北朝鮮の意図を分析する一方、会談開催に関連し北朝鮮に提案する会談の議題と時期、場所など具体的な対応策を話し合った。

 韓国政府は先月14日、開城工業団地に入居する韓国企業の資材や製品搬出などの問題を話し合うため南北当局間実務会談開催を提案していた。

南北の平和を定めた共同宣言には何があるか

2000年6月13〜15日に北朝鮮を訪問した金大中韓国大統領(当時)と、迎えた金正日国防委員長(党総書記)との間で署名された宣言。「統一は自主的に解決する」「南北の統一案に共通性のあることを認める」「民族経済を発展させ、また、あらゆる分野での協力と交流を活性化させ、双方の信頼を固める」など、5項目からなっている。

これまで南北間には、朴正煕-金日成時代の1972年7月4日に同時発表された統一原則に関する7・4共同声明と、盧泰愚-金日成時代の92年2月に発効した南北基本合意書などがあるが、南北の最高首脳が初めて署名した文書であることに歴史的な意義がある。この00年の史上初の南北首脳会談を受けて、離散家族の再会事業や閣僚級会談などが行われ、断絶していた鉄道・道路の連結も実現した。しかし、共同宣言に盛り込まれた金正日委員長のソウル答礼訪問はまだ実行されていない。   

.父親の朴正煕大統領時代にも南に呼びかけている


7・4共同声明のことだ。
主な内容は以下
南北共同声明(1972年7月4日。抜粋)


 (1)南北双方はつぎのような祖国統一の原則について合意をみた。

 第1に、統一は外国勢力に依存したり外国勢力の干渉を受けることなく、自主的に解決しなければならない。

 第2に、統一は互いに相手方に反対する武力行使によることなく、平和的方法で実現しなければならない。

 第3に、思想と理念、体制のちがいをのりこえて、まず1つの民族として民族的大団結をはからなければならない。

 (2)双方は、南北間の緊張を緩和し信頼の雰囲気をつくりだすために互いに相手方を中傷せず、大小にかかわりなく武力挑発をおこなわず、不意の軍事的衝突事件を防止するための積極的な措置をとることに合意をみた。

 (3)双方は、断ち切られた民族の連係を回復し、相互の理解を深め、自主的平和統一を促すために、南北間に多面的な諸般の交流を実施することに合意をみた。

 (4)双方は、現在全民族の大きな期待のなかですすめられている南北赤十字会談が1日も早く実を結ぶよう積極的に協力することに合意した。

 (5)双方は、突発的な軍事事故を防止し、南北間に提起される問題を直接、迅速、正確に処理するために、平壌とソウル間に常設の直通電話を設けることに合意した。

 (6)双方は、このような合意事項を推進させると同時に、南北間の諸般の問題を改善し解決し、また合意をみた祖国統一の原則にもとづいて国の統一問題を解決する目的から、金英柱部長と李厚洛部長を共同委員長とする南北調節委員会を構成し運営することに合意をみた。

 (7)双方は、以上の合意事項が祖国の統一を一日千秋の思いで渇望してきたすべての同胞のひたすらな念願に合致するものと確信しつつ、この合意事項を誠実に履行することを全民族の前に厳かに約束するものである。

.なぜ今7・4宣言なのか?

http://blog.donga.com/nambukstory/archives/59160
 北朝鮮が6日南北当局間対話を提案しながら“6・15共同宣言発表13周年南北共同行事だけでなく7・4共同声明発表41周年を南北が共同で記念しよう”と一点が眼に触れる。
北朝鮮は“南北民間団体らと共に当局が参加して,6・15共同宣言と7・4共同声明発表日を共同で記念すれば意義が大きくて南北関係改善に寄与すること”と主張した。

7・4共同声明は1972年朴正煕政府の時‘しばしば・平和・民族大団結’の3原則に合意したことで,南北当局最初の合意だ。

北朝鮮が朴槿恵大統領にお父さんの朴正煕前大統領の遺産を尊重するという宥和メッセージを送ったと分析される。
朴大統領が2002年5月北朝鮮を訪問した時,金正日(キム・ジョンイル)に7・4共同声明の意味を何回も強調した点も考慮したものと見られる。

全ソンフン統一研究院北朝鮮研究センター所長は“北朝鮮の意図は7・4共同声明精神よりは6・15共同宣言を南北当局間対話に引き込んで,韓国に関連合意を守れといいながら,金剛山観光再開と5・24措置解除を要求するためのものと見られる”と話した。

7・4共同声明をエサに6・15共同宣言記念行事開催を誘引した後,行事に参加した南側民間団体などを活用したり南北当局間会談で金大中盧武鉉政府時期合意した6・15宣言,10・4宣言に含まれた南北経済協力関連合意を守れと圧迫する可能性があるということだ。

 

 

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