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五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、北朝鮮の軍事関連報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください

2013年6月18日火曜日

MELT DOWN を読んで。

2008年に発表された本だが、改めて読んでみた。

本書は比較的時系列的に書かれており、個別のエピソードは今も興味深い。

 

 

5408-small_MELTDOWN_The_Inside_Story_of_the_North_Korean_Nuclear_Crisis_

とりあえず印象を残しておく。

本書はクリントン大統領の訪朝をめぐるドラマからスタートする。クリントンは、任期最後に北朝鮮に行って成果を挙げたかった。ところが、政権内ではこれが罠だ、罠でないと論争が起きる。

結局時間的に間に合わなくなり、次のブッシュ政権に引き継がれる。

ブッシュは個人的な感情から北朝鮮に対して、「悪の枢軸」といった激しい言葉を使って、交渉をこじらせてしまう。政権内には北朝鮮への実力行使を求める声も上がるが、結局国務省を中心とした外交交渉派が、なんとか北朝鮮との対話を続ける。

しかしほんの少しの言葉の行き違いで北朝鮮は強硬になり、核実験を行い、米国政府を困惑させる。中国も米国をいさめる。「戦争が起きれば、ソウルで数千人のアメリカ人を含め150万人が死ぬ可能性がある」(76p)と在韓国連軍からも説得される。

そんななか、北朝鮮にいた米国のスパイが、北朝鮮が濃縮ウラン開発の存在をダイレクトに米国政府に伝えた。このスパイは現在韓国に住んでいる。 82ページ。

北朝鮮問題に関わった米国政府高官の人は異口同音に北朝鮮内部のスパイの存在を認め2002年6月に通報者からの内部情報が決定的な契機となってウラン濃縮に関心を持ち始めた、と認めた。

ここから情報の洗い出しが始まる。その結果。北朝鮮は、米国との関係改善を模索していた2000年時点で既に関連資材の調達に力を入れ始めていた。 106ページ。この事実をケリー国務次官が、直接訪朝して北朝鮮側にぶつける。

北朝鮮側の答えは、ウラン濃縮を完全に認めるという内容ではなかった。しかしこの結果がたちまち広がり、米国はクリントン政権がつくりあげた枠組み合意放棄に突き進む。

ブッシュ政権は、「悪とは交渉しない、打ち負かすしかない」という路線に進む。交渉を重視する人たちと、タカ派は「人身攻撃も交えて激化した」218ページ

一方で中国や、盧武鉉政権の韓国は、米国に直接交渉を迫る。日本は拉致を巡り独自の外交を展開し、5人の拉致被害者を取り戻すことに成功した。 3小泉首相は1,000万ドル相当の医療資材および25万トンの食糧を提供すると申し出た。227ページ。

そんな中米国は、北朝鮮の不正な活動に着目。金融制裁に乗り出す。北朝鮮との交渉を担当していたヒル国務次官補は、これにショックを受ける。一方で核問題についての姿勢を和らげる。しかし北朝鮮の核実験で金融制裁は中止。

同盟国の中国も、人民解放軍が朝鮮人民軍に核実験前後に情報を求めたところ、何の回答も得られなかったという事実をブッシュ大統領とハドリー補佐官に打ち明けた。米国側当局者によると「この中国軍の将校は、連中(北朝鮮)はどうしようもなく、全く手に負えなくなってると認め、(中朝の)関係はすっかり変わってしまった」と言っていた。321ページ。

米国は、国連の安全保障委員会で制裁を加える方向に転換。2006年、1718という戦後、北朝鮮に加えられた制裁決議うち、もっとも厳しい内容の決議を実現する。323ページ。

六者は、2005年9月19日の共同声明を実施するために各者が初期の段階においてとる措置について2007年2月13日に合意を見る。しかしこの内容は、重要なところで、曖昧なところが多かった。金融制裁も解除されたこれを受け北朝鮮はヨンビョンの原子炉を閉鎖した。 369ページ。

拉致問題を抱える日本は、孤立する。日本人の強迫観念についてニュースレター編集者、クリス・ネルスンはこう分析した。

MIA(米兵遺体)問題は、ベトナムとの関係正常化を目指した米国政府にとって大きな足かせとなった。北朝鮮による日本人拉致について金正日はこれを認め、謝罪した。しかしどちらの政府も罠にはまっている。日本は、安倍が融通の利かない姿勢を取ることで、近隣諸国の国民の目に、日本が道徳的に鈍感な国とうつる結果を招いた。拉致問題に気をとられるあまり核兵器を廃棄させる大目標を失わせるようにも見えた。 359ページ

その後記述はないが、ブッシュ政権の方針転換は、基本的に北朝鮮に時間だけ与えたことが判明する。ウラン濃縮を密かに進めていたことを北朝鮮自身が認めており、米国外交の手痛い失敗となった。

チノイ氏の講演 http://www.youtube.com/watch?v=ZXCEKlPFTt0

http://www.foreignaffairs.com/articles/64510/lawrence-d-freedman/meltdown-the-inside-story-of-the-north-korean-nuclear-crisis

アマゾンの書評


In this excellent book, former CNN correspondent Mike Chinoy argues that the American failure to prevent North Korea from getting a nuclear bomb was the result of a combination of vicious, petty, and paralyzing bureaucratic warfare in Washington, an American unwillingness to negotiate, and North Korean brinkmanship.

Chinoy makes his case through a well-written, surprisingly exciting, and scrupulously fair account of the personalities, events, and decisions that made (and broke) Bush administration's often-confusing North Korea policies. The high quality of this reporting is clearly a reflection of the thoroughness and fairness of Chinoy's research: he seems to have interviewed just about everyone who is anyone in North Korea policy-making, from John Bolton to Colin Powell, and he gives all the sides their due.

Chinoy - who has been to North Korea something like 14 times, and reported on the North Korea issue for CNN for years - also offers some insights into why Pyongyang has often made seemingly irrational and dangerous decisions over the last eight or ten years. It's worth noting here that this is not the same thing as excusing or apologizing for North Korea's considerable duplicity and cruelty. Rather, Chinoy's examination of North Korean motives is a valuable and interesting contribution to our limited understanding of one of the most opaque countries in the world. To dismiss this as simply making excuses for North Korea's bad behavior is a gross and unfair oversimplification of a much more complex and sophisticated argument.

Bottom line: Meltdown is, without a doubt, the definitive account of the North Korean nuclear crisis. It is a brilliantly reported, exceptionally even-handed, and insightful book - and a must-read for anyone who wants to genuinely understand one of the most pressing and vital US foreign policy challenges today.

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