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五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、北朝鮮の軍事関連報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください。コメントは実名以外受け付けません。

2013年10月15日火曜日

元徴用工判決をめぐる日本政府の対応とメディアの報道について

 

元徴用工の未払い賃金問題のセミナーで、こんなことを話しました。

私は首脳同士の関係改善がないと、問題は動かない。 北朝鮮との国交正常化にも関係してくるため、日韓協定を見直し、国が個別に賠償するのは現実的には難しい。

他の運動に関わっている大学の先生や弁護士さんは「人権侵害であり、救済をはやくすべきだ」「請求権は消滅していない」と話していました。

やや、視点がかみ合わなかった印象です。

                                          五味洋治 東京新聞

1)慰安婦問題をめぐる民主党と自民党の違い

▷民主党政権時代は関係改善模索 水面下で慰安婦問題の解決さぐる動き[1]

(1)政府代表としての駐韓日本大使による元慰安婦へのおわび

(2)野田首相が李明博大統領と会談し、人道的措置を説明

(3)償い金などの人道的措置への100%政府資金による支出――の3点[i]

▷地方レベルでも「対処求める意見書」相次ぐ[2]

兵庫県宝塚市議会、島根県議会を含め4議会が可決。計44議会に上る。

6月26日に島根県議会は「日本軍『慰安婦』問題への誠実な対応を求める意見書」を自民も含む賛成多数で可決した。

国際的な関心、地方からも声がでてくれば、日本政府も動く。元徴用工問題でも解決に向けた努力ができる可能性

▷次々に積み上がる課題 

日本

日韓の課題

韓国

わが国は今までも歴史問題などにしっかり取り組み、理解を得られるよう説明してきた

歴史認識

時代を逆行した発言をする指導部のせいで信頼関係を築くことができない

首相が適切に判断

靖国参拝

責任ある政治指導者の靖国神社参拝は、韓日関係だけでなく、この地域の国家間の安定的な関係発展の障害となり、日本にも良くないことだ

解決済み

慰安婦問題

誠意ある対応を

解決ずみ。[3]韓国政府が適切な対応を

元徴用工問題

裁判進行中 コメントせず

流通しているものは安全、禁止解除を

8県の水産物輸入禁止

国民の不安解消を

積極的平和主義を目指す

集団的自衛権

周辺国の理解を

わが国固有の領土 国際司法裁判所への提訴検討

竹島・独島

固有の領土 国際司法裁判所への提訴には応じず

2)なぜ日韓のすれ違いが始まったのか?

▷2011年12月 京都日韓首脳会談[4]で、慰安婦問題の協議が決裂

冒頭から40分、李大統領が慰安婦問題で勇気をと対応求める。1時間の会談中40分費やす。この年の8月30日、韓国の憲法裁判所は、韓国政府が日本軍「慰安婦」被害者の賠償請求権に関し、具体的解決のために努力していないことは「被害者らの基本権を侵害する違憲行為である」との決定[5]を出した。

2)現在の慰安婦、元徴用工問題対応

慰安婦問題で努力したが、韓国側が受け入れずと放置

元徴用工でも真剣な対応みられず なぜか?

▷安倍政権下 外交の官邸主導→官房長官会見の縛りで外交当局動けず

3)現在の安倍政権内の対韓国認識が反映

朴大統領はポピュリストの大統領

約束できない国。GSOMIA(軍事情報保護協定)突然の締結中止

竹島(独島)への大統領訪問)、天皇謝罪必要発言で世論が日本の反発北朝鮮問題で連携すれば足りる。米国が間に入っているので無理する必要なし。

「上から目線」→安倍政権のパワー強く、メディアの報道にも影響

4)日韓の外交現場には焦りも

トップが会わないので課題がたまるばかり→韓国はハト派の岸田外相に期待

課題を解決したくても、ゴールがみえない(moving the goal)

韓国の「中国傾斜」「日本の存在感低下」。日本政府に危機感なし

韓国では日本企業の本格的進出なく、経済面からのブレーキが利かず

▷APEC会場での対話失敗→外交チームに焦り。集団的自衛権行使、安倍外交への悪影響を懸念する見方が増える。首相の言葉にも反映してきた。

日本と中国、韓国が良好な関係を維持していく、良好な関係を作っていくことは、アジア太平洋地域の安定と繁栄にとり、有意義であると考えている。
中国との関係は、我が国にとり最も重要な二国間関係の一つ。また、韓国は我が国にとって基本的な価値を共有する重要な隣国である。私は何か問題があるからといって、対話のドアを閉ざしてしまうのではなく、むしろ、問題があるからこそ、首脳レベルも含めて、話し合うべきと考えており、私の方からは、中国、韓国に対して対話を呼びかけている。
 今回は残念ながら、首脳会談を行うことはできなかったが、私の対話のドアは常にオープンである。これからも両国に対話を呼び掛けていきたい。(10月10日 安倍首相内外記者会見)[6]

 日中関係は最も重要な二国間関係の一つ。隣国であるからこそ、様々な問題が生じるわけでありますが、切っても切れない関係であることを双方が認識の上、お互いに努力していくことが重要であります。これこそが「戦略的互恵関係」であり、私の原点はここにあり、中国もその原点に立ち戻ることを期待しております。
 まずはお互いが胸襟を開いて話をしていくことが大切であり、外交当局間の対話を進めるよう私から指示をしています。条件を付けることなく、なるべく早く外相・首脳レベルの会合を持ちたいと考えています。
 韓国は、日本にとって基本的な価値と利益を共有する最も重要な隣国であります。現在、外交当局間での意志疎通を図っているところですけれど、冷静かつ静かな雰囲気の中において対話を通じて、両国関係を着実に発展させていきたいと思います。パク・クネ大統領とは電話会談を行いました。お互いの世代もだいたい同じです。是非首脳会談ができることを楽しみにしています。(7月27日 安倍首相 内外記者会見)[7]

▷米国からの要請も影響

10月4日 日米2+2 共同声明 [8]

「豪州及び韓国との定期的な三か国間の対話の成功に留意」と盛り込まれる。

5)2015年問題→国交正常化50年で、韓国に日韓関係再評価の動き

2014年6月4日に第6回統一地方選挙、2016年4月13日に第20代総選挙

▷課題を減らす努力を今から始める必要

6)問題提起 元徴用工判決への日本での誤解を解く必要性

 韓国からも努力を

 画一的なメディア報道続く背景につながる。

▷韓国では国民情緒法と言われる概念があり、司法も「反日」世論に流される

▷憲法裁判所の判事は、かちかちの左派(進歩派)

▷元徴用工問題は1965年の日韓協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)、ひいては日韓関係を根底から覆し、2国間関係だけでなく、日本の戦後処理の努力を否定する。

▷韓国政府は、慰安婦、被爆者、サハリン在留韓国人については個人請求権が消滅していないとして、日韓請求権協定に関する法的立場を変更した。元徴用工問題でも変更するのなら、際限がなくなる。韓国は国際的な合意を無視するのか?

▷韓国の言う「正しい歴史認識」の内容があいまい、何をどう求めるのかある程度明確化必要。実現不可能な無理な要求


[1] http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100800441

[2] http://www.ianfu-kansai-net.org/ikensho.html

[3] http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201307/30_p.html

[4] http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000016026.pdf

[5] http://www.wam-peace.org/wp/wp-content/uploads/2011/09/64e1569fcbc532fd1df34f353e7e7f09.pdf

[6] http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1010naigai.html

[7] http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1010naigai.html

[8] http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000016026.pdf


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