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五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、北朝鮮の軍事関連報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください

2013年12月4日水曜日

張成沢国防副委員長失脚の波紋 分析

張成沢失脚はまだ「説」ではあるが、金正恩の権力固めに伴い、いつかは起きると思われていた。
韓国の報道を読み込んで私なりに分析してみた。


ポイントは以下の通り
●失脚は韓国政府が慎重に裏つけしており、信憑性が高い
●背景は諸説有り、不明
●軍部の台頭や経済開放の後退といった悪影響を心配する専門家が多い
●ただ復活もありうる

.事実関係はこうだ。

金正恩第1書記の叔父、失脚か…韓国情報院が国会報告
 韓国情報機関の国家情報院は3日、北朝鮮の金正恩第1書記の叔父である張成沢国防副委員長が失脚した可能性が高いと国会に報告した。
 共同電によると張氏の最側近2人が11月下旬、公開処刑されたことが確認され、その後、張氏が姿を消したとしている。北朝鮮側は公式発表していない。事実上のNo・2の失脚が事実とすれば、北朝鮮指導部の権力構造に大きな変化が起きることになる。張氏は11月6日、訪朝したアントニオ猪木参院議員と会談した。

..肩書き

朝鮮労働党政治局委員、国防委副委員長、党中央委員、中央軍事委員会委員、行政部部长兼中央指導部第一副部長

.確認は先月末

先月末確認後朴大統領に見て…大統領府-関連部署背景-波紋分析
韓国政府は張成沢北朝鮮国防委員会副委員長の失脚と側近処刑がなされた後、先月末こういう情報を確認して北朝鮮内部状況を鋭意注視してきたと知らされた。
政府高位関係者は3日“処刑後いくらならない時点の先月末関連情報を入手して、事実関係を確認した”と明らかにした。

こういう事実は直ちに朴槿恵大統領と大統領府に報告されたし、大統領府と国家情報院統一部国防部など関連部署は張副委員長失脚と側近処刑の背景を分析する一方北朝鮮権力指導部の異常兆候有無などを把握してきたと伝えられた。

1日開かれた国家安保政策調整会議でも防空識別区域拡大およびフィリピン派兵問題と一緒にこの問題に対する議論があったことと見られる。

政府関係者は“張副委員長の粛清と側近処刑以前から張副委員長がパワーゲームで押されたか身辺に異常があるという兆候がずっと捉えられてきた”と伝えた。

..随行回数の激減

NYタイムズは“チェ竜ヘが張成沢の人と知らされたが今年に入り金正恩を伴った回数で張成沢を先んじた”としながら“金正恩と共に公式席上に見られる官僚は確実な信任を受けているという信号”と付け加えた。
昨年張成沢は金正恩と共に公式席上で106回登場したが今年は52回で半分以下で急減した。
張成沢が金正恩と共に出てきたことは10月10日労働党創建日行事が最後であったし11月6日日本のアントニオ、猪木議員に会った以後では公式席上で完全に消えた。

..所在不明

タイムズは北朝鮮媒体が張成沢の運命に対する一切の報道をしないでいながら、権力の全面だけで消えたことか、監禁されたのかは不透明だと伝えた。

..張失脚TVカメラの前で発表、なぜ?

国会情報委員会民主党幹事のチョン・チョンレ議員が3日金正恩北朝鮮労働党第1秘書の叔母の夫の張成沢国防委員会副委員長が失脚したと見られるという国家情報院の報告をTV前で直接発表したのを置いてうわさが出てきている。

金正恩後見の役割をしながら、核心権力を握ってきたと評価される張成沢の失脚は北朝鮮核心権力構図の大変化を予告する重大な懸案なのに情報委野党幹事があたかも政府を代表して、関連事実を発表するような姿になったためだ。

チョン議員はこの日午後5時3分国会政論観で緊急記者会見を行った。
彼は“午後4時40分頃国家情報院幹部が北朝鮮動向と関連して重大なことが行われたので緊急対面報告する内容がいるといってみるのかを受けた”としながら説明した。

...崔竜海との権力闘争説はいまのところ不明

彼は引き続き“大学教授に問い合わせをしてみたところ北朝鮮崔竜海(軍総政治局長)との権力闘争で押されたようだといった”という内容まで付け加えた。
それと共に“国家情報院として北朝鮮が深刻な状況というものを私を通して知らせたかったかより”と説明した。
だがすでに国家情報院はチョン議員の記者会見以前の午後4時57分に出入記者らに関連事実を知るだろうは状態であった。
セヌリ党はあわてた。
情報委関連懸案は与野幹事が協議して、発表するのが慣例だ。
これに同じ時間帯の4時半にチョン議員とは別途に国家情報院報告を受けた与党幹事のチョ・ウォンジン議員は午後5時50分頃あたふたと別途の記者会見を行うハプニングが行われた。
チョ議員は“とにかく与野幹事が共に発表すればもようが良かっただろう。
惜しい”と迂回的にチョン議員を批判した。
セヌリ党所属の瑞相期情報委員長も“状況がかなり重大だから慎重にするべきであった”と指摘した。

..労働新聞社説の意味

 “潜在的な権力競争者になることと判断した金正恩が張成沢の広範囲なネットワークを弱化させるのに力を傾けたこと”としながら労働新聞が先月30日“この世最後まで従おう”として金正恩の唯一指導を促す社説をのせたことが注目を集めている。
張成沢の没落は去る4月国家保衛部長になった金ウォンホンと人民軍総政治局長崔竜年人民軍総政治局長によったと分析されている。

..内部での異常発生の情報はない

大統領府は4日午前金ジャンス国家安保室長主宰で開く国家安保室と外交安保首席室の定例状況点検会議で対応策を議論する予定だ。
韓国政府は3日現在まで北朝鮮体制が揺れたり権力指導部内部に異常が発生した兆候は捉えられないことに把握した。

..張の権力拡大を恐れる?

政府のある関係者は“北朝鮮が張副委員長の失脚で揺れる体制ではない”と話した。
政府外交安保ライン核心関係者は“金正恩労働党第1秘書が自身の叔母の夫で後見人の張副委員長の権力が過度に大きくなって、自身の権力を威嚇すると判断して、これを牽制するために直接粛清を決心したと分析される”として“張副委員長粛清以外に北朝鮮権力内部で別途の他の事件が発生したようではない”と話した。

.腐敗だけが原因ではない

これと関連して、世宗研究所チョン・ソンチャン首席研究委員は“張成沢の側近らが単純に腐敗だけで処刑されたと見ない。
権力と関連した問題であること”と話した。
これは張成沢が‘事実上のナンバー2’であることがなかったという意味で今後北朝鮮軍部と党のエリートらは金正恩に忠誠心をより一層強く立証しようとすることだと展望した。

..崔竜海との葛藤

ゴス局長は万一張成沢の失脚説が事実ならばこれは金正恩の権力強固化のための張成沢押し出す可能性とまた他の金正恩の最側近要人の崔竜年と張成沢の権力闘争で崔竜海が勝利したという仮説、またはこの二つの複合的な結果であることもあると推定しました。
反面金正恩の直接的な介入なしで張成沢が失脚したとすればこれは現在北朝鮮の権力構図が非常に不安定だという意味でもあると彼は指摘しました。

..復権はないのか?

複数の専門家は過去の事例から照らして、また政権の核心に復帰する可能性があると展望している。

.妻、金敬姫の現状は?

金正恩労働党第1秘書の叔母の金敬姫が危篤なのではないかという推定は繰り返し出てきた。
80日以上公式席上に登場しないでいるためだ。
金敬姫危篤説は昨年9月末にも一回登場した
当時には1ヶ月ほど公式席上に現れないのが原因だった。
ところで今度は80日以上姿を見せないでいる。
また一度金敬姫危篤説が提起される理由だ。
朝鮮日報は今年‘北朝鮮内部事情に明るい対北朝鮮消息筋’を引用して"2009年6月再起以後金敬姫の空白がこのように長期化したことはなかった"として"普段の色々な持病を病む金敬姫が危篤な状態である可能性がある"とで報道した。

..金敬姫の健康状態は

今年67才の金敬姫は腰病と高脂血症、そして糖尿病などを抱えていると分かった。

..金敬姫の現状、把握できず

政府は張副委員長と張副委員長の夫人で金正恩の叔母の金敬姫の身辺が現在どんな状態なのかは把握できないと知らされた。

..南北関係停滞と影響?

何より政府は北朝鮮の改革・開放が必要だという立場を堅持した‘穏健派’である張副委員長の失脚が南北関係に及ぼす影響を鋭意注視しながら、対応策を用意している。

張副委員長の粛清を前後して、北朝鮮軍部と強硬派が勢力を伸ばす過程で最近南北関係が不通になった可能性にも注目している。

外交安保ラインのある関係者は“北朝鮮に改革・開放が必要だという立場を持ったと知らされていて南北対話にも役割をしたと知らされた張副委員長が失脚したことは今後南北関係に否定的な影響をおよぼすことと憂慮される”と話した。

政府は最悪の場合金正恩が体制結束のために対南挑発を敢行する憂慮もあるとみている。
最近また出口を開き始めた開城工業団地3通(通行、通信、通関)問題に対する南北協議と政府が北朝鮮に繰り返し促してきた離散家族対面に悪影響をおよぼす可能性も提起される。

.動揺はない

まず、金敬姫の死亡が大きい変化の要素にならないと思うという展望がある。
なぜならば金敬姫は北朝鮮の重要懸案を直接関わってきた人物でなく、北朝鮮の政治体制はすでに金正恩中心にその枠組みが安定化されている状態であるためだとソウル大平和統一研究院の張ヨンソク専任研究員は説明する。

張ヨンソク:金正恩政権がスタートして1年しかならなかったけれど金正日前国防委員長生前から権力継承を準備してきたし、そのような点で金正恩中心の対内外政策推進システムが構築されている状況だと見れば、金敬姫秘書が死亡するといっても結果的に北朝鮮の対内外政策推進に決定的に否定的な影響を及ぼさないことと予想する。

..権力が固まれば、南北対話も

関係者は“金正恩が周辺実力者らに対する粛清を通して、自身の権力を強固化する過程という側面で見れば権力を握り締めた金正恩が安定した権力を土台に南北対話に出てくる可能性も排除できない”と話した。

..金正恩の権力は強固

アンカー:米国専門家たちは今回の張成沢失脚説が事実ならばこれは北朝鮮指導者金正恩の権力基盤がすでに非常に強固な状態であることを反映すると分析しました。
RFAヤン・ソンウォン記者がお伝えします。

米国トプツ(Tufts)大学の北朝鮮専門家のイ・ソンユン教授は3日自由アジア放送(RFA)に全体主義社会で権力2人者は常に粛清あるいは牽制対象になったりしたとして今回の張成沢失脚説もこういう背景で理解することができると説明した。

それと共に張成沢側近の処刑と彼の失脚説が事実ならばこれはすでに強固な権力基盤を持った金正恩が政権を完全に掌握した状況が反映されると推定した。

イ・ソンユン教授:今回叔母の夫を粛清したとすれば、金正恩体制が今まで不安だったが今回のことを契機に権力が強固になったというよりは金正恩がすでに執権を確実にしたし思いのままに権力を振り回せる状況を見せるまた他の例と見る。
米国ハーバード大学校のジョン、パク専任研究員も張成沢失脚説が事実で判明したらこれは金正恩政権が外部で考えることよりさらに安定的でかたい(well-established)権力を手にしたと暗示していると話した。

ジョン、パク研究員:万一張成沢の失脚が金正恩権力強固化過程の完結版ならばこれは金正恩が年を召した後見人の影響力から抜け出して、自身が願う方向で北朝鮮政権を思うままにできるようになったという点を意味します。

.動揺はある

..軍の台頭不可避の見方

張成沢の失脚が南北関係に及ぼす余波に対しては否定的な評価が高い。
彼が北朝鮮内で長い間南北関係を取り扱ったいくつもならない最高位級要人という点からだ。
チョン・セヒョン前統一部長官は3日"南北関係改善のために張成沢は北朝鮮権力核心に位置するのが良い"と断言した。

張成沢は朴槿恵大統領とも縁がある。

彼は2002年5月朴大統領が当時ヨーロッパ・コリア財団理事資格で北朝鮮を訪問した時、面談した北朝鮮高位要人の中で唯一生存している人物だ。

彼は当時労働党中央委員会第1部部長名刺を付けて北朝鮮2次経済視察団院資格で韓国を訪問したこともある。

韓国の経済システムを体得したこの時の経験は後日金正日政権の経済政策樹立はもちろん、現在進行形の金正恩国防委員会第1委員長の経済改革措置に相当な影響力を及ぼしたと伝えられた。

..南北経済への悪影響

それで専門家たちは南北関係中でも特に経済協力後退を憂慮する。
チョ・ポンヒョンIBK企業銀行経済研究所研究委員は"南北間経済協力活性化を念頭に置いて改革・開放ドライブをかけていた張成沢構想が座礁した"と評価した。
張ヨンソク ソウル大統一平和研究員専任研究員も"北朝鮮対外開放の求心点の張成沢路線に対する組織的攻撃"としながら"路線闘争の信号弾になることができる"と話した。
金第1委員長が体制結束内地局面転換用で張成沢去就を利用した場合にも南北関係には険しい道が予想される。

..韓国挑発も

ヤンムジン北朝鮮大学院対教授は"過去パターンで見る時、北朝鮮は体制が不安になれば間違いなく対南挑発を繰り返す形態を見せてきた"と話した。
現在連日権力機関と各種社会団体を動員して、対南扇動に熱を上げる北朝鮮の挑発程度が一層高くなりえるという話だ。
政府当局者は"現在では懸案自体を置いて価値判断を下しにくい状態"として"ただし張成沢が軍部で代表される強硬派の威勢に押さえられて退いたとすれば否定的信号であることだけは明らかだ"と話した。

..北朝鮮情勢に激変ある

英国BBC放送もオンライン版で‘北朝鮮の実力者が失脚した’という題の記事を伝えながら“金正恩体制スタート以後最も大きい政治的激変期”を経るのではないかと分析した。
フランスAFP通信や香港のサウスモーニングポストなども張成沢副委員長が北朝鮮内部権力闘争で押し出された可能性などを観測しながら、北朝鮮軍部動向などが今後変化の要素になると展望した。

..北朝鮮経済に与える影響は?

特にジョン・パク研究員は張成沢が北朝鮮政権内でいくつもならない代表的な資金調達策に選ばれると言いながら万一失脚した彼の後任が正しく資金を調達できないならばこれによって北朝鮮政権の基盤まで揺れることができると見通しました。

去る4月経済官僚のパク・ポンジュが経済全般を管掌する内閣総理に上がりながら、張成沢が北朝鮮の経済開放を主導することと予測された。

張成沢は昨年中国を訪問、国境地帯2ケ所を自由経済地域で作るのを議論することもした。

NYタイムズは“張成沢夫婦は2008年金正日が脳卒中で健康が悪化した後隠遁の王国で権力行方の鍵を握っている人物に浮上した”としながら“2011年末金正日事後、彼らはおいが労働党と軍部、閣僚の44%を交替するなど権力の座を強固にするのを助けた”と紹介した。

..忠誠競争が始まる

ニューヨークタイムズは3日インターネット版トップ記事で張成沢の失脚説と側近2人の公開処刑を報道しながら"北朝鮮の金氏一家はただひとりの最高指導者に権力が集中するシステムを構築してきた"としながら"今年30才の金正恩は去る2年間お父さん時代の忠実な部下らを差し置いて軍部と党の新しいエリートらを布陣させながら、最高指導者で早く権力基盤を固めた"と評価した。
北朝鮮専門家たちは今後軍部と党のエリートらが最高指導者に対する忠誠競争をするようになるだろうと展望した。

タイムズは“北朝鮮の金氏一家はただひとりの最高指導者に権力が集中するシステムを構築してきた”としながら“張成沢をはじめとする権力エリートらは単に金正恩の操縦範囲内に入っている”と報道した..
新聞は“今年30才の金正恩は去る2年間お父さん時代の忠実な部下らを差し置いて自身に忠誠できる軍部と党の新しいエリートらを布陣させながら、最高指導者で早く権力基盤を固めた”と評価した。
引き続き“金正恩はたびたび解雇や降格を通して、忠誠心を試験して隠密な情報を収集しながら、自身のお父さんから受けたリーダーシップと違ったテクニックを駆使した”と付け加えた。

.中国の反応


北朝鮮張成沢国防委員会副委員長の失脚と側近2人の公開処刑説に対して海外でも大いなる関心を傾けた。
中国、北京外交家は3日北朝鮮張成沢国防委員会副委員長が失脚と側近2人の公開処刑説はだいぶ根拠があることだと評価した。

特に一部消息筋らは北朝鮮で張成沢失脚および側近2人の公開処刑と関連した情報と動きがあったことに伝えられたとして張成沢側近の公開処刑説はほとんど確実なことに把握されると観測することもした。
だが中国の人民日報でもCCTVなど官営媒体らは‘張成沢失脚’と関連したニュースをほとんど伝えないでいる。

 

..日本は

拉致問題に対する影響は今のところ不明。張氏は日本側との窓口の一つとなっており、北朝鮮内部で強硬派が台頭すれば、日朝交渉は難しくなる。日本版NSCが開催されるので、そこでの大きな話題となるだろう。日本側は情報を把握できていなかったようだ。韓国からの通報もなかったと思われる。皮肉めいているが、北朝鮮内部で動揺があれば、争っている場合ではないので,日中、日韓関係は小康状態になるかもしれない。

cnn

http://edition.cnn.com/2013/12/03/world/north-korea-upheaval/index.html?hpt=wo_c2

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