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五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、北朝鮮の軍事関連報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください

2014年9月3日水曜日

住民の創業と自立性を許容 朝鮮日報

北朝鮮が困っているという先入観は捨てるべきかもしれない。

http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2014/09/02/2014090200375.html

最近北朝鮮当局が企業の経営独自性を許して個別住民の創業および営利活動を黙認しながら,北住民の所得・生活水準が一定部門向上していると分かった。
配給体制崩壊以後住民たちによる自然発生的市場化が急速に進行されるのにともなう現象と解説される。 2014090200364_1

◇一部北住民,数万ドル集めて創業
対北朝鮮消息筋は"最近咸鏡北道,清津で商った住民崔某氏が中国と北朝鮮内家族・友人らから資金3万ドルを集めて,織物工場を創業した"として"形式的には清津の政府傘下企業所名義を借りたが,社長の崔氏が直接職員採用をして原料・資材購入と生産・販売,収益分配まで直接する方式"と伝えた。

この工場は職員10人余りに毎月平均300中国元(約50ドル)を月給で与えて,企業所には月収益の30%を上納すると分かった。
朝総連機関紙朝鮮新報は最近"平壌326電線工場労働者らが今年3月以前より月給を数10~100倍受けた。
(北朝鮮お金で)最高34万ウォン(約40ドル)を受けた職員もいる"と伝えていた。


http://www.theguardian.com/world/gallery/2014/sep/02/daily-life-in-north-korea-in-pictures

最近北住民たちの所得と生活水準が少しずつ高まりながら,玉流館で一日に売れる冷麺が最大1万人分に達すると分かったとAPは報道した。

流通と運送市場でも変化が現れている。
対北朝鮮消息筋は"咸興に住むA氏が最近人民委員会の許可を受けて,農水産物流通業社を整え,収益が相当な規模"といった。

その間北朝鮮では個別商人が小規模で流通業に務めてきたが,大規模流通センターを作って,運営することは初めてだと知らされた。
平安南道出身のある北脱出要人は"内陸の平声地域には中国で小型トラクターを購入して,個人菜園農作業を代行したり農業資材を運んであげて金を儲ける運送業者らが生じている"とした。

◇企業自律性許容
最近北朝鮮住民の所得,生活向上整理票

北当局は最近相次いで企業の経営自律性と農民の自立権を拡大して,住民の市場活動を許す措置をしていると分かった。
キム・ヨンヒ韓国政策金融工事博士は"北朝鮮の相当数企業が最近独自的自律経営体制に変わりながら,過去と確かに違う姿を見せている"として"農業部門でも過去集団的班単位生産活動を縮小して農民の農作物自律処分権を拡大しながら,生産性が大きく向上している"とした。

北朝鮮当局が石炭輸出で儲けた外貨で食糧輸入を増やして,食糧備蓄倉庫を開いて,米供給量を拡大するのにともない米など生活必需品価格が安定したという分析も出てくる。

チョ・ポンヒョンIBK企業銀行首席研究委員は"キム・ジョンウンが経済問題で自力更正政策では限界を感じたと見られる"として"最近北朝鮮は中国・ヨーロッパに諮問をしてシンガポールなどに官僚らを送って,資本主義経営を習っている"とした。

◇米価格も安定…住民所得・生活水準良くなって

これに伴い北住民の所得が増えて生活水準も上がる兆候が所々に現れている。


米価格は最近になって最低水準の1kg当り5000ウォン(1ドル内外)水準に落ちて維持されている。
対北朝鮮消息筋は"住民の50%以上が米の飯を食べていて,飢えて死ぬ人は殆どなかった"とした。
咸興市住民たちには世代別に毎月鴨1匹,子供たちにはヨーグルトと牛乳が供給されていると伝えられた。

このような現象に対して政府関係者は"最近北が農業・軽工業部門に力を注いでいるところに昨年食糧増産と対外貿易拡大で経済が好転したようだ"とした。

一部では"幹部らに対する監視・統制で中間着服現象が減ったのも影響を及ぼした"という話が出る。

 

文中で言及されている朝鮮新報の記事

「朝鮮式の経済管理方法」現場レポート(上)/平壌326電線工場

労働者の給料を大幅にアップ

実績を厳密にチェック

平壌326電線工場(平壌市平川区域)のキム・ソンナム支配人(51)は、「労働者を生産の直接的担当者として前面に立たせる」ことを経営戦略の中心に据えているという。

この工場では最近、労働者の給料を引き上げた。「朝鮮式の経済管理方法」を具現し、企業所の総収入から国家納付分を差し引いた分の収益の用途を企業所自らが決められるようになったことが背景にある。

ケーブル職場・通信作業班の労働者、リ・ヨンエさん(52)は、最近給料が大幅にアップした。

昨年、平壌をはじめ全国各地で大規模な建設事業が進められたが、多数の建設対象に電線とケーブルを供給するため、リさんら労働者たちは「延長労働」をしながら生産に力を注いだ。そのような労働に対する評価が給料に反映されたという。

リさんの職場には、電気炉の寿命を伸ばす技術革新を行って高額の奨励金を受け取った労働者もいる。新しい技術が工場にもたらした利益が換算され、それが開発当事者に還元された。

キム支配人によると、これまでも「働いた分だけ、儲けた分だけ分配する」という原則が適用されてきたが、新たな経済管理方法が導入されてからは実績の優劣をより厳密に問うようになったという。事業結果を総括する会議の雰囲気も変わったという。

朝鮮の企業所には本来、「独立採算制委員会」(略称「独採」)という機構がある。

平壌326電線工場でも、支配人、技師長、職盟(朝鮮職業総同盟)委員長、計画課長、会計課長などが月に一度「独採」会議を開き、工場内にある7つの職場の事業実績を評価している。

今までは、評価がなされても職種別の報酬に特に差は出なかった。ところが今は、結果が驚くほどはっきりと現れるようになったという。

「独採」会議を終えると、職場長たちは自分の部下である作業班長たちと知恵を寄せ集め、増産のための対策を講じている。作業班単位でも、労働者たちが毎日退勤前に「日生産及び財政総括」を行い、集団的に各自の仕事実績を評価し、記録する。この制度も以前からあったものだが、作業班長たちによると、「これまでは『やってもやらなくても良い』程度のものだったが、今はみなが総括を真剣に行っている」という。

新製品の開発も

経済管理が改善されたことで、企業所は国家が指定したもの以外にも、新たな製品や品種を自らの判断に基づいて開発、生産、取引きすることができるようになった。企業所自ら生産した製品、品種に関しては、需要と供給のバランスで価格を決めるようにしている。

電線、ケーブルの国産化比率をアップさせるための研究を一貫して進めてきたこの工場では最近、最先端型のケーブルを新たに開発した。それだけでなく、ケーブルをつなぐ接続部を独自に製品化し、該当機関にケーブル連結工事を行うサービスも工場の新たな業種として始めた。

労働者に対するインセンティブを増やすことで生産を拡大するとともに、新製品の開発などによって新たな収入源も確保した平壌326電線工場の昨年の事業実績は、一昨年比1.7倍に伸びたという。

キム支配人は、「工場の収入を増やし、生産拡大と労働者たちの給料アップに必要な資金を確保するためには、経営幹部がアイデアを出して必死に働かなければならない」と意気込んでいる。

(金志永)

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生産の当事者に相応の権限を付与/独自の社会主義的経済管理方法

「朝鮮式の経済管理方法」現場レポート(下)/三支江協同農場

農民の意識変革と増産実現

圃田担当制の成果

三支江協同農場(黄海南道載寧郡)では昨年、稲の収穫を10月内に終えた。例年ならば11月上旬までかかるというが、農場員たちが一丸となって取り組んだ結果、予定よりも早く終わったという。

同農場のリ・ヘスク管理委員長(36)は、「『圃田担当制』がもたらした成果」だと強調する。

朝鮮の農業部門では、昨年から分組管理制を新しい方法で運営している。 「分組」とは「作業班」の下部単位だが、この分組管理制の中で「圃田担当制」を実施している。

 

三支江協同農場には、作業班が9個、分組が36個ある。分組はほぼ22人で構成されるが、5人ほどが一組となって田畑を担当するようにした。

リ管理委員長は「圃田担当制」の効果に対して、当初「疑心暗鬼だった」というが、今では十分に実感しているという。「農場員の意識に変化がもたらされ、責任感が以前よりも増した」(リ管理委員長)。

国家指標は稲と小麦、麦、ジャガイモの2毛作だが、ここに豆と野菜を追加して3毛作、4毛作を始めるグループも出てきた。秋の刈り入れと脱穀のスピードも大幅にアップした。

その結果、協同農場全体の収穫高が引き上げられ、昨年の稲作農業はヘクタール当り800㎏増産という成果を収めた。

国内経済学者は分組管理制の中での「圃田担当制」について、「農民たちが田畑を自分の家の畑のように思い、主人らしく働くようにすること」であると解説する。

現物分配の効果

三支江協同農場では、収穫した農産物から国家納付分を差し引いた分を農場員らに現物分配している。

これまでは現金分配だった。脱穀した米は精米所に移され、国定価格で買い上げられたが、今は農民が自らの労働の結果を現物をもって確かめることができるようになった。現物分配を受けた農民は、余った農産物を市場で売るなどして自由に処分することができる。

しかし、三支江協同農場の農場員は「穀物販売所」を訪れるという。国家が一昨年に設けた「穀物販売所」は、農民たちの余分な穀物を市場とほぼ同じ値段で買付けている。ここを農民たちが広く利用することで、結果的に、穀物が国の倉庫に集中する。

リ管理委員長は、農場員が市場ではなく「穀物販売所」を訪れることについて、「本当に立派な行いだと思う。国の米蔵を責任もった農民の本分ではないか」と話す。農産物が分配され、販売、流通する過程に、集団の要求と個人のニーズが一致していくようすを見ながらリ管理委員長は、「圃田担当制」をより深化させていく必要があると感じているという。

昨年は三支江協同農場だけではなく、全国の農場で稲の収穫が10月中に完了した。リ管理委員長は、分組管理制の「圃田担当制」は「われわれのように規模が大きな農場よりも、山間の小さな農場でその効果がよりはっきりと現れるだろう」と話す。

「新しい方法、方式を農民たちは大いに歓迎している。われわれが仕事を頑張れば国の経済が良くなり、人民生活も良くなる。われわれはそれを、生活を通じて実感している」(リ管理委員長)

(金志永)

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