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五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、拉致再調査、金正恩の健康、張成沢処刑、崔竜海失脚関係の韓国報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析、内容は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください

2016年7月4日月曜日

「北朝鮮の金正恩政権とどう向き合うか! 〜予想外の独裁者の行動とは〜

 

金正恩体制の今後

最近ある場所で話した内容のまとめです。図表と一部の内容を割愛し、話言葉が一部入っています。

北朝鮮問題は、公開されている情報が少ない。信頼できる文献が少ない。そうすると関係者に話を聞いて、積み重ねていくしかない。ジャーナリストの仕事に向いている。


北朝鮮の場合は、そもそも指導者からしてどんな生活をしているのか、家族構成も秘密になっていることが多い。

それでは、まず金正恩はどんな人なのか。生まれについてもいろいろな説がありました。1982年説もありましたが、最近1984年生まれというのが定説になりました。

彼を小さい時に世話をした叔母が、アメリカの新聞に答えて1984年生まれだと話したのです。
少し年上にしていたのですね。

スイスに留学していことが分かっています。あまり成績はよくなかった。学校にも行かなかった。バスケに夢中で、バスケットで負けると、チームを集めてミーテイングをし、次回は絶対負けるなとハッパをかけていたそうです。小さい時から気持ちの強いこども、つまり負けず嫌いだったと言われています。

家族は、奥さんと子供と言われていますが、いつ結婚し、何人子供がいるのかはっきりしていません。

本人はタバコが好きで、時にはワインを10本空ける時もあるそうです。お酒はコニャックなど高級酒を飲むと言われています。北朝鮮の北部、元山というところで生まれ、しっかりした軍人経験はないと言われています。


この5年間に30キロ太り、130キロになった。
糖尿、痛風、坐骨神経痛などの病気も噂されています。30代ですが、肉体の老化が進み、50代の体をしていると韓国のお医者さんは見ています。

しかし完全に常軌を逸しているともいえない。

若く、経験不足な面を時々極端な方法で隠そうとしているというのが近いと思います。

そこで彼が目指す国家とはどういうものなのでしょうか?
ここからが今日の本論です。

簡単に言いますと、箇条書きの1にある並進路線というものです。
これは実は、核開発と経済の発展を同時にすすめようというものです。
核開発という安保政策と、経済という民間を中心としたものを同列にするのは無理がありますが、一応あの国の論理には叶っているのです。

というのは、周辺に韓国や日本、中国がいる。そういう環境で国を守るには核兵器を開発して、国を守り、一方で経済発展を図るのが一番いいという訳です。


いろいろ兵器を作る必要はない。核兵器さえあれば他の国が手出しできない。最小限の費用で国防が実現し、経済を発展させられる。

核兵器開発の原資はさまざまですが、外国に派遣している労働者の賃金がかなりな部分を占めているようです。脱北し韓国に住む人たちが家族に送るお金も途中でピンハネされ、兵器開発に使われているという話もあります。
しかし、核開発へのこだわりが経済成長阻害、国際的孤立も深める

ところが、これは大きな矛盾を抱えています。そもそもいつ核実験をするか分からない。ミサイル実験をするか分からない。国際的は非難をあびるか分からない国に、どうやって投資するでしょうか。
ですから、この路線は行けば行くほど矛盾が拡大し、いき詰まる。

韓国は早ければ9月くらいに行きつまり、韓国との対話を求めて来ると考えているのです。ですから、一切援助したり、話し合いに応じない。

9月になれば、いきなり北朝鮮がバタリと行くわけではありませんが、海外で稼いでいる外貨が足りなくなり。韓国に助けを求めて来ると見ているようです。

私はそう簡単ではないと思っています。それは最後に申し上げますが、中国が後ろにいるからです。


北朝鮮の国際関係を申し上げる前に。それでは北朝鮮の経済はどうなのでしょうか。苦しい苦しいと言われながら、飢えて死ぬ人はいまはいないようです。1990年代には天候不順が続いて、200万人とも300万人んとも言われる人が死んだと言われていますが、人民はその時の経験を踏まえて、自分で生きていくすべを身につけてきたと言われています。

例えば北朝鮮の地方の写真をみると、家の周りにトウモロコシがびっしりと植えられています。市場では、食料品が売られていて、いざとなれば物物交換に近い形で、食べ物が手に入る。
経済はなんとか+成長をしています。
でも韓国と比べると大差が付いています。


「2013年北朝鮮主要統計指標」
韓国政府の統計によると、韓国の国民1人当たりの平均年収は2559万ウォン(約250万円)で、北朝鮮の18.7倍に相当する。北朝鮮の1人当たりのGDPは、1125ドルで、ジンバブエ、カンボジアなどと同じレベル。最も低いそうです。

さらに、北朝鮮の閉ざされた対外政策により、貿易分野でも韓国と大きな開きがある。

2012年北朝鮮の輸出入総額は68億1000万ドル(約7100億円)だが、韓国は1兆674億5000万ドル(約11兆1360億円)に達し、実に北朝鮮の約157倍だった。

朝鮮戦争休戦直後、韓国と北朝鮮はいずれも貧困国であった。1960年のGDP(国内総生産)で見ると、北朝鮮は韓国の3倍で、世界60位に位置していた。

これは資源の差でした。朝鮮半島の北側には石炭や鉄鉱石などの資源が豊富で、日本が採掘所や、工場、ダムなどを作っていた。それを戦後そのまま使って、生産を上げていた。ところが思想教育、思想闘争ばかりに熱心だったため、経済が不振に陥ってしまうのです。

韓国は北朝鮮に経済発展で大きな差をつけたが、喜んでばかりもいられない。韓国政府関係者の中には、「南北の収入格差は90年代の6倍から今では19倍に拡大している」と将来の統一の支障になると心配する声もあります。

両者の経済格差は韓国政府および韓国人にとって大きな負担となる」との意見もあります。
東西ドイツ 990年10月3日、ドイツ連邦共和国(Bundesrepublik Deutschland、「西ドイツ」)にドイツ民主共和国(Deutsche Demokratische Republik、「東ドイツ」)が編入された。この時の所得格差はせいぜい3倍程度だったと言われていますので、こんな差があったら、先進国が途上国を無理矢理併合するようなもので、大混乱になるはずです。

その後1970年に韓国がGDPで北朝鮮に追いつき、両者の差は拡大して行きました。

この立役者が、朴正煕大統領だったのです。北朝鮮を追い抜こうと1965年に日韓国交正常化を実現し、無料、有償を含め5億ドルを手にし、高速道路や橋、鉄工所建設などに思い切って投資します。


資金は1966~75年に10次にわたり供与された。韓国メディアによると、5億ドルは65年当時の韓国国家予算の55%に当たります。

 使用実績を産業別にみると、鉱工業が55.6%と最大。国土開発などの社会間接資本が18%、農林水産業が13.2%となっている。

 具体的には、浦項(ポハン)総合製鉄所建設(73年に第1期工事完了)に約1億1950万ドル(資金全体の23.9%)が投入され、軽工業から重化学工業への転換に寄与。アジア最大の貯水量を誇った昭陽江(ソヤンガン)ダム建設(春川(チュンチョン)市、73年完工)に約2160万ドル(4.4%)、ソウルと釜山を結ぶ大動脈、京釜(キョンブ)高速道路建設(70年開通)に約690万ドル(1.4%)が注ぎ込まれた。

 しかし、朝鮮日報は「(62年から10年間の)借款の7割は米欧からで、日本は2割にすぎない」と日本の貢献を過小評価する。

 韓国の経済企画院が76年に発刊した「請求権資金白書」では、日本の資金に関し「60年代初頭から始まった経済開発5カ年計画を遂行するのに効果的に使用されたのは事実だ」と指摘している。

一方の北朝鮮。思想教育のため、働く人々は会社を休んだり、集会に動員したり、勉強会にでる。体制に批判的な人を左遷したり、処罰するなどしている。海外からの投資などはない。投資保護のシステムも最近になってできています。

さらに、1989年に東欧革命が起き、社会主義国家に頼り切っていた北朝鮮の貿易は極度に悪化。ソ連や東欧の国が次々に崩壊。
その上に自然災害が重なり、北朝鮮の人々は苦しい生活を余儀なくされた。苦難の行軍と言われる時期です。

1988年にはソウルで五輪が開かれることになります。この焦りから、北朝鮮は大韓航空機の爆発テロを引き起こします。キムヒョンヒ事件と呼ばれるものです。

大韓航空機爆破事件(1987年)に起きた。かなりずさんな計画でした。

日本人になりすまして飛行機に乗って、爆発物を棚に載せて降りる。この当時はセキュリティチェックという概念がなかった。

日本人が拉致されて、こういう特殊工作員と生活を共にして、日本人の文化や習慣を学んだ。ところが、そうは簡単になれない。子供時代からやっていれば違うでしょうが、大学を出た人が完全に他の国の人になるのは不可能です。イデオロギーの国、北朝鮮では人間改造はできると思われていたのです。

社会主義とか共産主義の国の人間観というものが反映している。中国でも、終戦後、日本人の捕虜に対して同じような人間改造を行う試みがありました。

韓国政府のデータによれば、2006年以来毎年2000人余りの北朝鮮人が脱北し韓国に逃げ込む。15年間で脱北により韓国に逃亡した北朝鮮人は3万人に近く成っています。

いくら地上の楽園と宣伝しても、自国を捨てる人がいるというのは恥ですね。脱北者たちは、韓国にいる親戚を頼って、中朝国境地帯に行ってこっそり携帯電話を使って連絡を取り合い、川を渡って逃げ出します。

賄賂を渡せば、そう危険はなく出て行ける。北朝鮮の当局も、最新の携帯電話検知器をドイツから購入し、使っている人は容赦なく摘発する。そのため、携帯は山の中に埋めておき、朝の6時から10分間だけ都約束して、中国側と話すなど分からないように工夫していると聞いています。


 国連食糧農業機関(FAO、本部ローマ)は、昨年の北朝鮮の食糧生産量が2010年以来初めて前年比で減少に転じたと発表した。かんばつなどの影響だとしている。
 4月27日の発表によると、昨年の食糧生産量は推定約540万トンで、対前年比9%減となった。特に主食のコメは、26%も落ち込んだ。

 北朝鮮は昨年11月から今年10月にかけ、69万4000トンの穀物を外国から輸入する必要があるが、政府による輸入は30万トンにとどまる見通しだという。
 FAOは、穀物の生産・供給量の減少により、北朝鮮の食糧事情がさらに悪化する恐れがあると分析している。

今北朝鮮は厳しい制裁を受けています。

4回の核実験の影響です。国際社会は、若い指導者の金正恩氏への期待を完全に失ってしまいました。

ミサイル実験も繰り返しています。

北朝鮮は6月22日、中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験に成功した。12輪の自走発射機に搭載されてトンネル等に隠れ、出てきて10分で発射可能とみられる。このためミサイル防衛による迎撃も先制攻撃による破壊も困難。発射準備に何日もかかる「テポドン」などに比べ、武器としての能力は極めて高い本物の脅威だと言われています。

 北朝鮮は2006年10月9日以来4回の核実験を行い、「ムスダン」が搭載可能な600-700キロ程度まで小型化できていると考えられる。


2)    南北関係
朝鮮半島信頼プロセス
「西ドイツは東ドイツに経済支援し、東ドイツは東ドイツ住民の西ドイツ訪問の範囲を広げるなど、双方が互いに措置を取る方式で協力した」と強調した。

これまでは経済格差を近づけ、統一につなげたい。今は完全に圧力路線に転換した。

4)日朝関係 拉致問題
拉致などをめぐる調査委員会はすでに解散。
一部では、めぐみさんの娘のウンギョンちゃんが日本に定住して終わり。可能性は低いけれど、考えられる。
日本はそれではおしまいにできない。当面、日朝の接触はなさそうだ。
 
5)米国の対応はより厳しく
これに独自の制裁

韓国の報道

米、対北朝鮮の超強硬制裁法を発効

北朝鮮だけを対象にした米国の初の北朝鮮制裁法が18日(以下現地時間)、オバマ大統領の署名で公式に発効された。安倍晋三内閣も19日午後、臨時閣議を開き、独自の北朝鮮制裁を確定した。
国連安全保障理事会での北朝鮮制裁をめぐって拮抗した綱引きが行われている間に、日米両国が同時に北朝鮮に対する圧力の手綱を締めた。共通の目標は、金正恩政権の核・ミサイル開発に使われる資金源を遮断することだ。

法の発効で、米国は北朝鮮に対してさらに強力な独自制裁を加えることができる法的準備を終えた。特に、北朝鮮制裁法の「セカンダリーボイコット」条項を活用すれば、北朝鮮の大量破壊兵器や人権蹂躙、サイバーテロなどに関連した第3の企業や個人も制裁できる。この場合、中国企業が直撃弾を受けるものとみえる。北朝鮮の対外貿易の90%ほどが大衆貿易だからだ。米国の独自制裁が北朝鮮だけでなく中国にも焦点を当てているのだ。

北朝鮮制裁法には、北朝鮮を「マネーロンダリング憂慮対象国」に指定するかを米財務部が法案施行後180日内に検討するという条項も含まれている。2005年に北朝鮮の金脈を止めたバンコ・デルタ・アジア(BDA)銀行のような金融制裁を加える道が再び開かれたのだ。石炭や黒鉛など地下鉱物の取引を制裁するようにしたのも、北朝鮮の資金源を遮断するためだ。ひとまず、オバマ政府が直ちに単独制裁に出るよりも、強力な安保理制裁を引き出すためのテコとして活用するものとみえる。中国が安保理制裁に協力するよう圧迫するカードとして使うということだ。・中国への制裁の意味を含め、北朝鮮制裁をレベルアップ
トランプは、北東アジアの秩序を変える。オバマの失敗を念頭に置いているが、急速に支持を失っている。
クリントンは厳しく取り組みそう。

クリントン氏が大統領になれば、どのような対北朝鮮政策をとると考えますか。


-クリントン氏が直接言ったわけではないが、側近は「北朝鮮崩壊直前まで制裁を強化しなければならない」と言っています。
 「そうしたやり方は過去25年間、全く効果がなかった。次の政府の任期4年間で効果があるとは思えない。クリントン陣営が既存の国家安保システムを脱却して思考することができないことを見せる一つの事例と考える」


6)北朝鮮は米国と中国の綱引きの中で安定した立場に?

中国は一番腹を立てている。
何かことを起こすと、「中国が協力した」「裏に中国がいる」と指摘される。

このため中国は、劉雲山共産党政治局常務委員・中央書記処書記を団長とする中国共産党代表団が9日から朝鮮労働党成立70周年祝賀行事に出席し、朝鮮を公式友好訪問する。

    中国共産党中央対外連絡部の報道官が4日北京で明らかにしたもので、代表団は朝鮮労働党中央委員会に招かれたもの。
・序列8位前後の党で外交を統括する李洙墉(リ・スヨン)党副委員長(政治局員)と習近平が異例の会談北朝鮮の李洙墉労働党中央委員会副委員長が31日、大規模な代表団を率いて中国を訪問した。


・中国が北朝鮮への影響力を誇示
・南シナ海に関する米国からの批判に対抗?


米国は、中国に重荷を背負わせ、国際社会の一員としての自覚を持たせようとしている。

中国は、オレが言っても言うことは聞かない。手に負えないなどと言いながら、肩を持つようなふりも示す。

中国も北朝鮮も、仲が悪いけれど利用できる時には利用しあう。これが国際政治の現実だと思います。

7)まとめ今後の展望

・中朝関係は親密度増す。金正恩訪中も
・核開発は一段落するが、南北関係は緊張続く
・拉致問題の調査結果を北朝鮮が一方的に発表する可能性 日本に揺さぶり
・カギ握る米新政権の方針
・北朝鮮国内で金正恩への反発強まる。韓国内では早期崩壊予測も

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