タイトル「北朝鮮取材の苦労」
Q 朝鮮半島に関心を持ったきっかけは
A 東京新聞に入ったあと川崎支局で在日韓国人の指紋押捺問題を取材したこと
Q そこからどうして北朝鮮に関心を持ったか
A 朝鮮半島問題に関心を持ち、実際に韓国でハングルを学んだ。その時北朝鮮との対立の現実を知った。たとえば民間防衛の日というのがあり、一カ月に一回、防衛訓練が行われている。
Q 北朝鮮取材の難しさは
A 内部の情報がなかなか漏れてこない。漏れてきてもどこまで信頼できるか、北朝鮮全体を伝える内容なのかが確認しにくい
Q そこをどう乗り越えるのか
A 普段から信頼できる情報筋を作っておき、何かが起きた時に確認する。複数の人が「そう聞いている」とすれば、記事にする
Q しかし、絶対正しいとは言えないときはどうするか
A ほとんど、そういうケースだ。それだけに時には、ニュースの出所を特定して、そちらに責任を転嫁することもある。たとえば韓国の情報機関がこういった情報を入手した、などという形だ。
Q なるほど。
A ただ、北朝鮮取材の醍醐味もある。秘密の多いところこそ、チャンスがある。北朝鮮情報は日本政府も分かっていない。われわれが足で拾ってきた情報が速く正確なことも多い。記者クラブや政府当局者から情報をもらう取材よりも何倍もスリリングだ。
Q 金正男の本を書いて彼が暗殺される危険はないか
A ないと信じている。中国が彼を保護しているし、もし今の状況の中で彼が暗殺されれば、北朝鮮は永遠に国際社会から葬られる。
Q 本人は待ってほしいというのに、どうして本を出したか
A 彼も本国に対して言いたいことはあっただろうし、私も記者として彼に接した。都合がわるいので記事や本にしないでほしいというのは、希望としては聞くが、私が判断させてもらった。北朝鮮は曲がりなりにも開放を試みており、正男氏の言葉が影響を与えたと信じている。
Q 金正男は日本に不法入国して強制退去となった。この時に国内に留め置いて、拉致被害者と交換できなかったのか?
A 日本の当局は、彼を含む北朝鮮の入国者を泳がしていたが、こういう風に突然拘束されるケースについてきちんとした対応策がなく、パニックになったのではないか。危機管理の問題だと感じる。それと当時国会ももめており、政府幹部が対応する余裕がなかった。