あいまいな請求権問題の決着について指摘している。
ソウル高等法院第19民事部 判 決
事件 2012ナ44947 損害賠償(キ)
原告、控訴人 1.A
2.B
3.C
4.D
原告ら 訴訟代理人 法務法人 ○○○
担当弁護士 ○○○、○○○
被告、被控訴人 E株式会社
日本国○○都○○○区○○○○○ ○-○-○
代表取締役 ○○○ ○○○
訴訟代理人 弁護士 ○○○、○○○、○○○
第1審判決 ソウル中央地方法院2008年4月3日宣告2005カ合16473判決
差戻し前判決 ソウル高等法院2009年7月16日宣告2008ナ49129判決
差戻し判決 大法院2012年5月24日 宣告2009タ68620判決
弁論終結 2013年6月19日
判決宣告 2013年7月10日
主 文
1. 第1審判決の中から支給を命じる金員に該当する原告らの敗訴部分を各取消す。
被告は原告らに各100,000,000ウォン及びこれに対して2013年6月19日から全て返済し終える日まで、年20%の比率による金員を支給せよ。
2. 原告らの残りの控訴を各棄却する。
3. 訴訟の総費用は被告が負担する。
4. 第1項の金員支給部分は仮執行できる。
3. 本案に関する判断
ア、当事者たちの主張要旨
1) 原告ら
日帝強制占領下で被告の前身である旧Fの募集担当官が原告らに、技術習得、帰国後安定的な職場の補償、充分な食事と賃金提供等を保障すると言いながら原告らを懐柔したり、行政機関を通じて募集した後、日本に動員したが、実際に原告らは旧Fの色々な工場で原告らの意思に反して、自由を剥奪された状況で強制労働に酷使され、賃金すらまともら支給されなかったので、旧Fと事実上同一の法人で旧Fの債務を承継した被告が、原告らに各100,000,000ウォンの慰謝料を支給する義務がある。
2)被告
原告A、Bは既に同一な内容のこの事件日本訴訟で敗訴確定判決を受けたので、この事件の訴えの内、上の原告らの請求は既判力に抵触し棄却されるべきで、被告は旧Fと法人格が異なり、旧Fの原告らに対する損害賠償の債務を承継しなかったし、原告らが主張する損害賠償請求権は請求権協定及びその後続措置に因って原告らの慰謝料請求権は消滅したし、仮にそうでないとしても上の損害賠償請求権は、消滅時効が完成したか除斥期間が渡過したので、原告らのこの事件請求は理由がない。
イ、旧Fの不法行為責任の成立
1) この事件で不法行為に基く損害賠償請求権が成立するかどうかを判断する基準になる準拠法は法廷地である 大韓民国にあり、外国的要素がある法律関係に適用される準拠法の決定に関する規範(以下、「抵触法」とする)によって決定されるべきだが、前で見た事実によれば被告の行為及びその結果発生という不法行為は旧渉外私法(1962.1.15.法律第966で制定されたもの、以下同じ)が施行された1962.1.15.以前に発生した。このように1962.1.15.以前に発生した法律関係に適用される大韓民国の抵触規範は、1912.3.28.から日王(天皇)の勅令第21号に依ってわが国に依用されて来て、軍政法令第21号を経て、大韓民国制憲憲法附則第100条により「現行法令」として大韓民国の法秩序に編入された、日本の「法令」(1898.6.21.法律第10号)である。上の「法令」に依れば、不法行為に因る損害賠償請求権の成立と効力は、不法行為発生地の法律に依るが(第11条)、この事件の不法行為地は大韓民国と日本にわたっているので、不法行為に因る損害賠償請求権に関して判断する準拠法は大韓民国法、または日本法になるだろうが、既に共同原告らである原告A、Bが日本法が適用されたこの事件の日本訴訟で敗訴した点に照らして、不法行為の被害者である原告らは自身により有利な準拠法として大韓民国法を選択しようとする意思を持っていたと追認される点や、このように準拠法になることができる色々な国の法がある場合、法廷地の法院は当該事案との関連性の程度、被害者の権利保護の必要性と加害者の準拠法に対する予測の可能性及び防御権補償等、当事者間の公平、衡平と定義、裁判の適正性等を共に考慮して準拠法を選択・決定できるといえるだろうが、上のような要素をすべて考慮する時、大韓民国法を準拠法とすることが正しいと見られる点等を綜合して大韓民国法を準拠法として判断することとする。進んで制定民法が施行された1960年1月1日以前に発生した事件が不法行為に該当するかどうかの判断に適用される大韓民国法は、制定民法附則第2条本文に従って「旧民法(依用民法)」ではなく「現行民法」である。
2) 上の認定事実を準拠法である現行民法に照らして見れば、日本政府は中日戦争と太平洋戦争等、不法な侵略戦争の遂行過程で日本の製鉄所に必要な人力を確保するために長期的な計画を立てて組織的に人力を動員したし、旧Fは鉄鋼統制会に主導的に参与する等、日本政府の上のような人力動員政策に積極的に共謀して人力を拡充したが、原告らは当時朝鮮半島と韓国民たちが日本の暴圧的支配を受けていた状況の下で、今後日本で経験することになる労働内容や環境に対してよくわからないまま、日本政府と旧Fの上のような組織的な欺罔に依って動員されたとみるのが相当である。ましてや原告らが成年にも達していない幼い歳で家族と離別し、生命や身体に危害を被る可能性が非常に高い劣悪な環境で危険な労働に従事したし、具体的な賃金額も知らないまま強制的に貯金させられたし、日本政府の過酷な戦時動員体制下で外出を制限され、常時監視を受け脱出が不可能だったし、脱出を企てたこが発覚した場合、過酷な殴打を加えられたりもしたが、このような旧Fの行為は当時朝鮮半島に対する不法な植民地支配及び侵略戦争の遂行と直結した反人道的な不法行為に該当し、このような不法行為のせいで原告らが精神的苦痛を受けたことは、経験則上明白である。
従って旧Fは特別な事情がない限り、原告らの精神的苦痛を金銭的にでも慰さめる義務がある。
ウ、原告A、Bに関するこの事件の日本判決の既判力の認定
被告が旧Fの不法行為責任をそのまま負担するかに関して調べてみる前に、原告A、Bに関するこの事件の日本判決が既判力を持つかどうかに関してみてみる。
法廷地の手続法である韓国の民事訴訟法第217条第3号は、外国の裁判所の確定判決の効力を認定することが、大韓民国の善良な風俗やその他の社会秩序に背いてはならないという点を、外国判決承認要件のひとつと規定しているが、ここで外国判決の効力を認定すること、即ち外国判決を承認した結果が大韓民国の善良な風俗やその他の社会秩序に背くかどうかは、その承認を許すかどうか判断する時点で、外国判決の承認がわが国の国内法秩序が護ろうとする基本的な道徳的信念と社会秩序に及ぼす影響を、外国判決が扱った事案とわが国との関連性の程度に照らして判断しなければならず、この時その外国判決の主文だけでなく、理由及び外国判決を承認する場合に発生する結果まで、綜合して検討しなければならない。
乙第2、6、7号証の各記載に依れば、前で見たこの事件の日本判決は原告A、Bが主張する請求権発生当時の上原告らを日本人と見て、上の原告らが居住していた朝鮮半島を日本の領土の構成部分と見ることで、上の原告らの請求に適用する準拠法を、外国的要素を考慮した国際司法的観点から決定せずに初めから日本法を適用したが、日本の韓国併合経緯に関して「朝鮮は1910年韓日併合条約が締結された後、日本国の統治下にあった」と前提し、上の原告らに対する適用経緯に対して、「当時、日本国政府、朝鮮総督府等が戦時下の労務動員のための積極的な政策を押し出していたことが認められるとしても、上の原告らはみな労働者募集当時の説明に応じて、その意思に依って応募したことにより大阪製鉄所で働くに至ったのであり、彼らの意思に反して強制連行したのではない」と見て、「上の原告らが応募した1943年9月頃には既に『朝鮮人内地斡旋要綱』に従って事業主の補導員が地方行政機関、警察、そして朝鮮労務協会等の連係した協力を受け、短期間に目的の人員数を確保し、確保した朝鮮人労務者は事業主の補導員に依って引率され日本の事業所に連行される「官斡旋方式」で徴用が実施されたが、これは日本国政府が厚生省と朝鮮総督府の統治下で朝鮮人労働力を重要企業に導入し生産機構に編入させる計画の下で進められたもので、実質的な強制連行や強制連行だった」という原告らの主張を受け入れなった事実、またこの事件の日本判決は旧Fが事前説明と異なり、上の原告らを大阪製鉄所で自由が制約された状態で、違法に強制労働に従事させた点、実質的な雇用主として上の原告らに対して一部賃金を支給せず、安全配慮義務をきちんと履行しなかった点等、上の原告らの請求原因に関する一部主張を受け入れながらも、旧Fの上の原告らに対する債務は旧Fと別個の法人格を持っている被告に承継されなかったのみならず、そうでなくても請求権協定と日本の財産権措置法によって消滅したという理由で結局、上の原告らの被告に対する請求を棄却した事実等を知ることができる。
このようにこの事件の日本判決の理由には、日本の朝鮮半島と韓国人に対する植民地支配が合法であるという規範的認識を前提にして、日帝の国家総動員法と国民徴用令を朝鮮半島と原告らに適用することが有効、と評価した部分が含まれている。
しかし大韓民国制憲憲法は、その前文で「悠久な歴史と伝統に光輝く我ら大韓国民は、己未3・1運動で大韓民国を建立し、世の中に宣布した偉大な独立精神を継承し、これから民主独立国家 を再建するにおいて」とし、附則第100条では「現行法令はこの憲法に抵触しない限り、効力を有する」として、附則第101条は「この憲法を制定した国会は、檀紀4278年(1945年)8月15日以前の悪質な反民族行為を処罰する特別法を制定できる」と規定した。また、現行憲法もその前文に「悠久な歴史と伝統に光輝く我が大韓国民は、3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統と、不義に抗拒した4・19の民主理念を継承し」、「恒久的な世界平和と人類共栄に貢献することで」と規定している。このような大韓民国憲法の規定に照らしてみる時、日帝強制占領期の日本の朝鮮半島支配は規範的な観点から不法な強占に過ぎなかったし、日本の不法な支配に因る法律関係の内、大韓民国の憲法精神と両立し得ないものは、その効力が排除されるとみなければならない。それならばこの事件の日本判決の理由は、侵略戦争遂行のための日帝強制占領期の強制動員自体を不法と見ている、大韓民国憲法の核心的価値と正面から衝突するものである。その上に後のエ、項で見るように、侵略戦争及びこれを遂行する行為の正統性を否認することは世界の文明国の共通な価値であり、日本国憲法もまたそれと同じなのに、これに反する判決理由が込められたこの事件の日本判決をそのまま承認する結果は、上の民事訴訟法でいう善良な風俗やその他の社会秩序が国際性まで考慮した概念という点を勘案しても、それ自体で大韓民国の憲法等国内法秩序が根拠にしていて、護ろうとしている基本的な道徳的信念と社会秩序に違反することが明らかである。(このような解釈は既存の大法院判例である、大法院2009年5月28日宣告2006タ20290判決、大法院2006年5月26日宣告2005ム884判決の趣旨と同一なので、上の解釈が既存の大法院判例に反するという被告の主張は理由がない)。
したがってわが国でこの事件の日本判決を承認し、その効力を認定することはできないので、この事件の日本判決が大韓民国で承認されることを前提に、原告A、Bの請求がこの事件の日本判決の既判力に反するので認められないという被告の主張は理由がない。
エ、被告が旧Fの債務を負担するべきか否か
1) 被告が旧Fを法的に同一な法人と見ることができ、被告が旧Fの債務をそのまま負担するべきかどうか見てみる。旧Fの解散及び分割に従った法人格が消滅したのかどうか、第2会社及び被告が旧Fの債務を継承するのかどうかを判断する基準になる準拠法もまた、法廷地である大韓民国の抵触規範に依って決定されるべくだが、その法律関係が発生した時点は、旧渉外私法が施行された1962年1月15日以前から、その後にまでわたっている。その内、1962年1月15日以前に発生した法律関係に適用される大韓民国の抵触規範は、前で見た法例である。上の「法例」は旧Fと第2会社及び被告の法的同一性を判断する法人の属人法に対して、明文の規定を置いていないが、法人の設立準拠地法や本拠地法に依って、これを判断すると解釈されている。旧Fと第2会社及び被告の設立準拠地と本拠地はすべて日本なので、旧Fの解散及び分割に沿った法人格の消滅や債務承継を判断する準拠法は、一旦日本の法になるが、ここに会社経理応急措置法と企業再建整備法が含まれるのは当然である。しかし一方、上の「法例」第30条は、「外国法に依る場合、その規定が公共の秩序または善良な風俗に反する時には、これを適用しない」と規定していたので、大韓民国の抵触規範に沿って準拠法に指定された日本の法を適用した結果が大韓民国の公序良俗に違反するのであれば、日本の法の適用を排除して法廷地である大韓民国の法律を適用しなければならない。また1962年1月15日以後に発生した法律関係に適用される旧渉外私法においても、このような法理は同様である。
2) この事件で外国法である日本の法を適用することになると、原告らは旧Fに対する債権を被告に対して主張できなくなる。
旧Fが被告に変更する過程で、被告が旧Fの営業財産、役員、従業員を実質的に承継し、会社の人的、物的構成に基本的な変化がなかった事実は上で見た通りであり、一方甲第89、90号証、乙第31ないし36の各記載に弁論全体の趣旨を加えれば、会社経理応急措置法と企業再建整備法は日本政府が不法な侵略戦争を遂行しながら、日本企業から供給された戦争物資等に対する戦時補償金の支給を停止しながら、それに因る日本企業の経営上の損失を株主と債権者の損失で処理し、戦後の日本経済の更生を図るための目的で制定された法律という事実、上の各法律は指定時以前に生じた債務は原則的に旧勘定に属すようにしながらも、従業員の給与債権等の例外に該当しない限り弁済を禁止し、弁済するとしても旧勘定から弁済し、特別管理人の承認等、一定な要件を備えた場合、一定金額の限度内でのみ新勘定からの弁済が可能なように制限を加え、特別経理会社が負担する特別損失をその範囲に従って株主と債権者が分担するようにして、生産活動に必要な実質的価値がある財産は新勘定に属するようにして、ここから出資を受けた第2会社を設立し、第2会社が既存債務の負担なく生産及び営業活動をできるように規定しながら、この過程で提起される利害関係人の異議申請に対して主務大臣が決定する等、整備計画に対しては主務大臣の認可を受けるようにしている事実を認められるが、一方上のような更生手続きを経ながら、例え異議申し立てがないとしても旧Fが知っている債権者に対する手続き関与権、または実体的な装置をほとんど置かなかった事実、旧Fもまた旧勘定に対する精算手続きを進めながら、知っている債権者を保護するための措置をまったく執らないまま、ただ申告しなかった債権は除斥されるという趣旨で公告だけした事実が認められる。
上のように上の会社経理応急措置法と企業再建整備法は、敗戦という非常な状況で日本経済の回生という目的から制定されたとしても、債務者である旧Fが既にしっていたり、ましてやその債務の発生原因が反人道的で故意的に行われた不法行為に基づくものに至るまで、債権者に対してほとんど何の保護手続きを置かなかったとして、当時国交が断絶した状態で自身の権利を行使する可能性が事実上ない大韓民国、その他被侵略国の国民等、植民地支配及び侵略戦争と関連する被害者たちに対して、実質的に権利行使を封鎖する効果を持つものであるが、上の各法制定の背後にこのような意図がなかったと断定するのは難しく(前で見た旧Fが日本政府の指示に従って旧勘定から出損して供託した原告らに対する賃金、預貯金の規模が、原告らの労役期間等に照らして正当に算出されたとは見られない点もまた、上の供託の真正さを疑わしめるひとつの徴表である)、一方では一般的な企業倒産手続きから旧債務を負担しない新しい法人を設立したり、営業を譲り受けた新しい法人が従前の事業を続けられる方法が世界的に広く取られているものとしても、上のような反人道的な不法行為に基づく損害賠償債権に対する追及効果を剥奪する、上の各法に依る更生手続きを文明国家で施行される倒産法制下での債務の整理と単純に比較できないだけでなく、基本的に世界各国が取る倒産手続きは債権者の同意を前提として成り立っており(例えば債務者回生及び破産に関する法律第237条、第242条等)、知っている債権者に対しては個別的な通知をする等で手続き関与権を手厚く保護している点、敗戦後ドイツは「消滅中のI.G.Farbenindustrie株式会社の債権者に対する催告関連法」を制定しながら、期限内に債権者たちが登録しなかった請求権は消滅すると定めながらも、上の会社が知っている請求権は消滅しなかったと定めたし、例えドイツ連邦最高裁判所と連邦憲法裁判所が上の会社に対する強制徴用労働者の損害賠償請求を許可しなかったことがあるが、ドイツは敗戦以後いわゆるナチ統治下の非人道的犯罪被害者たちに対して自発的な補償を実施したし、過去強制労働者個人に対する補償が初めから計画されていなかったという理由から、米国に所在地を置くドイツ企業に対する強制労働者の集団訴訟が相次いで起こされると、米国等世界各地のナチ被害者を代弁する多数の代理人と共に長期間の議論の末に、「記憶、責任、未来財団」を設立する法を用意し、上の財団を通して被害者個人が補償金の支給を受け取れるようにした事実を認められる点(甲第106、111号証、乙第13、14、15号証の各記載、弁論全体の趣旨)及びこれに加えて憲法を整合性を備えた規範体系として構成、解釈し、このような枠の上で法律を含む各種規範を憲法合致的に解釈することは法院の義務といえるものだが、日本国憲法の場合にも第9条で「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武器による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と規定する等、過去に日本政府が起こした侵略戦争の惨禍に対する反省に基づき、永久的な平和を念願し国際社会で名誉ある位置に立つことを憲法的な価値と掲げている点に照らしてみれば、日本の過去の侵略戦争の必要に応じて成された欺罔的な募集や徴用を通じて、人権を侵害する不法行為を行った軍需業体にまで、その不法行為に基く損害賠償責任を免脱させる内容の法律、その他規範の効力をその文言通りに解釈することは、日本国憲法の価値に符合する解釈ともみられない点等に照らして見たとしても、上の各法等、当時の日本法が定めた手続きは文明国として一般的に容認できない方法に依る、更生手続き見ることはできない。
従って上の各法は結局戦後処理及び賠償債務解決のための日本国内の特別な目的の下、不当な債務免脱が予見されるのにこれを容認する方式で制定された技術的立法に過ぎず、このような日本国内法を理由に旧Fの大韓民国国民に対する反人道的不法行為に基く損害賠償債務が免脱される結果を受け入れることは、大韓民国の法律が外国法を適用する時、考慮するように定めている国際的強行法規ないし公序に反するもので容認できない。
日本法の適用を排除し当時の大韓民国の法律を適用してみれば、旧Fが第1項でみたように責任財産になる資産と営業、人力を第2会社に移転し、同一な事業を続けた点等に照らし、旧Fと被告はその実質において同一性をそのまま維持したとみることが相当で、法的には同一な会社と評価するのに充分で、日本国の法律が定めたところにより旧Fが解散し、第2会社が設立された後、吸収合併の過程を経て被告に変更する等の手続きを経たからといって、他とみるものではない。
従って上の原告らは旧Fに対する請求権を、被告に対しても行使できる。
オ、請求権協定で原告らの請求権が消滅したか否か
1) 請求権協定は日本の植民地支配の賠償を請求するための交渉ではなく、サンフランシスコ条約第4条に基づき韓日両国間の財政的・民事的債権・債務関係を政治的合意によって解決するためのもので、請求権協定第1条に依って日本政府が大韓民国政府に支給した経済協力資金は、第2条に依る権利問題の解決と法的対価関係があるとはみられない点、請求権協定の交渉過程で日本政府は植民地支配の不法性を認めないまま、強制動員被害の法的賠償を原則的に否認したし、これに従って韓日両国の政府は日帝の朝鮮半島支配の性格に関して合意に至らなかったが、このような状況で、日本の国家権力が関与した反人道的不法行為や植民地支配に直結した不法行為に因る損害賠償請求権が、請求権協定の適用対象に含まれたと見るのは難しい点等に照らしてみれば、上の原告らの損害賠償請求権に対しては、請求権協定で個人請求権が消滅しなかったのは勿論であり、大韓民国の外交保護権も放棄されなかったとみるのが相当である。
進んでは国家が条約を締結し外交的保護権を放棄するのみに止まらず、国家とは別個の法人格を持つ国民個人の同意なしに、国民の個人請求権を直接的に消滅させ得るとみることは、近代法の原理と調和するのが難しい点、国家が条約を通じて国民の個人請求権を消滅させることが国際法上許容されるとしても、国家と国民個人が別個の法的主体であることを考慮すれば、条約に明確な根拠がない限り、条約締結で国家の外交的保護権以外に国民の個人請求権まで消滅させたとみることはできないだろうし、請求権協定には個人請求権の消滅に関して韓日両国の意思の合致があったとみるのに充分な根拠がない点、日本が請求権協定の締結直後、日本国内で大韓民国の日本国及びその国民に対する権利を消滅させる内容の財産権措置法を制定・施行した措置は、請求権協定だけでは大韓民国国民個人の請求権が消滅しないことを前提とする時、初めて理解できる点等を考慮してみると、上の原告らの請求権が請求権協定の適用対象に含まれないと仮定したとしても、その個人請求権自体は請求権協定で当然消滅するとみることはできず、ただ請求権協定でその請求権に関する大韓民国の外交的保護権が放棄されることで、日本の国内措置で該当請求権が日本国内で消滅したとしても、大韓民国がこれを外交的に保護する手段を喪失することになるだけである。
従って上の原告らの被告に対する不法行為に因る損害賠償請求権は、請求権協 定で消滅しなかったので、上の原告らは請求権協定にもかかわらず被告に対して、上の請求権を行使することができる。
2) 被告は上のように請求権協定を解釈することが大法院2012年5月10日付2012タ12863審理不続行判決に反するものと主張するが、上の判決の事案は請求権協定締結と関連した大韓民国公務員の行為が不法行為に該当するか否かに関するもので、この事件と事案を異にするもので、審理不続行判決は上告理由の主張が上告審手続きに関する特例法第4条第1項が定めた事由を含めない場合や、そのような主張があっても原審判決と関係がなかったり、原審判決に影響を及ぼさない時にできるもので、上の判決が請求権協定に関して被告の主張のような解釈をしている判例に該当するとみることはできない。
カ、消滅時効または除斥期間主張に関する判断
1) 原告らの不法行為に基く損害賠償請求権が消滅したか否かに関する準拠法もまた、前で見たのと同じ理由で大韓民国法になるが、現行民法に依れば不法行為に関しては消滅時効だけが規定されていて、日本法が準拠法という前提の下で除斥期間が渡過したという被告の主張は、より進んで調べる必要もなく理由がない。
2) 次に消滅時効が完成したという被告の主張に関して見てみる。
消滅時効は客観的に、権利が発生してその権利を行使できる時から進行し、その権利を行使できない間は進行しないが、ここで「権利を行使できない」場合というのは、その権利行使に法律上の障害事由、例えば期間の未到来や条件不成就等がある場合をいうのであり、事実上権利の存在や権利行使の可能性を知らずにいて、知らなかったことに過失がないとしても、このような事由は法律上の障害事由に該当しない(大法院2006年4月27日宣告、2006タ1391判決等参照)。
一方、債務者の消滅時効に基づく抗弁権の行使も、民法の大原則である信義誠実の原則と権利濫用禁止の原則の支配を受けるもので、債務者が時効完成前に債権者の権利行使や時効中断を不可能、若しくは顕著に困難にさせたり、そのような措置が不必要と信じさせる行動をしたり、客観的に債権者が権利を行使できない障害事由があったり、又は一旦時効完成後に債務者が時効を援用しないような態度を見せ、権利者にそのように信頼させたり、債権者保護の必要性が大きく、同じ条件の他の債権者が債務の弁済を受領する等の事情があって、債務履行の拒絶を認めることが顕著に不当であったり、不公平になる等特別な事情がある場合には、債務者が消滅時効の完成を主張することが信義誠実の原則に反し、権利の濫用なので許容できない(大法院2011年6月30日宣告、2009タ72599判決等参照)。
上で採択した証拠及び甲第11号証、乙第17、47ないし53号証の各記載に弁論全体の趣旨を加えれば、上の原告らは旧Fの不法行為があった後、1965年6月22日に韓日間の国交が樹立する時までは、日本国と大韓民国間の国交が断絶していたし、従って原告らが被告を相手に大韓民国で判決を貰ったとしても、これは執行できなかったという事実、1965年韓日間に国交が正常化されたが、韓日請求権協定関連文書がまったく公開されない状況で、請求権協定第2条及びその合意議事録の規定に関連して、請求権協定で大韓民国国民の日本国又は日本国民に対する個人請求権が、包括的に解決したという見解が大韓民国内で一般的に受け入れられて来た事実、日本では請求権協定の後続措置として財産権措置法を制定し、原告らの請求権を日本の国内的に消滅させる措置を取り、原告A、Bが起こしたこの事件の日本訴訟で請求権協定と財産権措置法が、彼らの請求を棄却する付加的な根拠として明示されたりした事実、
しかし原告らの個人請求権、その中でも特に日本の国家権力が関与した反人道的不法行為や植民地支配と直結した不法行為に因る損害賠償請求権は、請求権協定で消滅しなかったという見解が、原告A、Bら強制連行被害者が日本で訴訟を起こした1990年代後半になって徐々に浮かび上り、遂に2005年1月韓国で、韓日請求権協定関連文書が公開された後、2005年8月26日日本の国家権力が関与した反人道的不法行為や植民地支配に直結した不法行為に因る損害賠償請求権は、請求権協定で消滅したとみられないという民官共同委員会の公式的見解が表明された事実等も認められる。
ここで先に見たように、旧Fと被告の同一性についても疑問を持たざるを得ないような、日本での法的措置があったことを加えてみれば、少なくとも上の原告らが本件の訴訟を起こした時点である2005年2月までは、上の原告らが大韓民国で客観的に権利を事実上行使できない障害事由があったとみるのが相当である。(原告らと類似した地位にいた一部の大韓民国国民が、三○○○重工業株式会社を相手に2000年5月1日大韓民国内で訴訟を起こした事情だけでは、原告らに対する上の障害事由がその頃解消したとは見られない)
このような点を前で見た法理に照らして検討してみると、旧Fと実質的に同一な法的地位にある被告が消滅時効の完成を主張し、原告らに対する債務の履行を拒絶することは顕著に不当で、信義誠実の原則に反する権利濫用であり許容できない。
キ、損害賠償の範囲に関する判断
被告は朝鮮半島に対する不法な植民地支配体制を強固にし、日本帝国主義の膨張のために侵略戦争を遂行しようとする日本政府と共謀して、綿密な計画の下に原告らを強制で動員し苛酷な行為を加えながら強制労働を強要したし、これに因って原告らは幼い歳で家族と離別し、家族から保護を受けたり、家族を扶養する機会を奪われ、教育の機会や職業選択の自由も剥奪されたまま、ただ日本国が敗戦する時まで、被告が強制する日程と規範に従って労働に従事するしかなかったが、このような(人権)侵害行為の不法性の程度と期間及びその故意性、それに因る原告らの被害の程度、にもかかわらず不法行為以後50年を越す期間の間、責任を否定した被告の態度等の、当審弁論終結当時までに発生した一切の事情と共に、この事件の不法行為時と当審弁論終結時間に長期間の歳月が経過するのに従った国民所得水準や通貨価値の変更等を考慮し、このように不法行為時と弁論終結時の間の通貨価値変更を考慮した慰謝料賠償債務の遅延損害金は例外的に、その慰謝料算定の基準時である事実審弁論終結当日から発生すると見なければならないのに従って、その期間に対する遅延損害金が全く加算されていないという事情まで総合的に考慮してみれば(大法院2011年1月13日宣告2009タ103950判決、大法院2011年7月21日宣告2011再タ199全員合議体判決等参照)、被告が支給する慰謝料の金額は少なくとも100,000,000ウォンとみるのが相当である。
ク、小結論
よって被告は原告らに、原告らが求めるところに従って各100,000,000ウォン及びこれに対して前でみたように、当審弁論終結日である2013年6月19日から返済し終える日まで、訴訟促進等に関する特例法が定めた年20%の比率に依る遅延損害金を支給する義務がある。
4.結論
それならば、原告らのこの事件請求は上の認定内で理由があり、各認容し、残りの請求は理由がないので各棄却するものであるが、第1審判決は一部結論を異にし不当なので、第1審判決の内、上で支給を命じた金員に該当する原告ら、敗訴部分を各取消し、被告にその支給を命じ、原告らの残りの控訴は理由がないので各棄却することにして、主文のように判決する。
裁判長 判事 尹誠根(ユン・ソングン)
判事 文(ムン)ジョンイル
判事 具(ク)ジャホン