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現代日本外交
東京新聞 五味洋治
こんにちは。私は東京新聞で外務省の担当をしている五味と申します。
今日は日本の外交の当面の課題についてお話します。一方的に話すのではなく、みなさんの意見を聞きながら進めたいと思います。
●外交の司令塔ができる
今国会開会中だが、焦点が当たっているのは、外交分野の関連だ。まずは日本版NSC(国家安全保障会議)法案、次が特定秘密保護法。NSCは11月中旬までに国会で成立させ、その後特定秘密保護法案審議にはいる。NSCは年内発足の可能性が高い。
問題は秘密法案です。行政の長が秘密を指定すれば、半永久的に解除しなくてもいいなど国民の知る権利との関係で論議を呼んでいる。
どんなものが特定秘密に当たるのか、まだはっきりしていないが核物質警備、テロ活動防止。原発警備などが当たると報道されている。
▽外交に秘密は必要ですか? 逆に、秘密が漏れた時のダメージが大きい。米国の盗聴疑惑がその一例です。秘密がどんどん拡大しないために、どんな手立てがあるでしょうか?
●外務省か、警察庁か
日本版NSC設置法案の成立を目指す中、霞が関の縄張り争いが活発化している。国家安全保障局の局長は外務省が握りそうだ。安倍首相は外務省と関係が深い。
また外務省は安倍政権の鬼門になりかねないTPP(環太平洋パートナーシップ)交渉も主導しており、もしNSCが、予定通り来春発足した場合、霞が関の実権は外務省が握ることになりそうだ。これまで情報を独占していた警察庁との縄張り争いが激しくなりそうだ。
▽情報は各省庁の力の源泉、すべてをNSCに上げ、共有できるでしょうか。たとえば、あなたが警察庁出身で、国益に関する情報を入手した。NSCに上げるか、それとも首相に直接伝えますか?
●安倍首相の積極外交の光と影
安倍首相と言えば、アベノミクスを想起する。
実は外交面でもこの間、特筆すべきものがあった。首相就任からわずか10カ月で23カ国を訪問し、延べ110回以上の首脳会談を行った。
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ただし、中国と韓国は、領土や歴史をめぐり対立が続いている。
▽領土や歴史認識が違っていても、国同士は十分付き合えると思いますか?
●米国の弱体化と日本への期待、懸念
米国は日本に
集団的自衛権を求めている。その背景には、米国の財政赤字が影響している。オバマの社会保障改革が負担になっているのだ。
与野党対立でオバマ大統領がASEANを欠席し、存在感が低下した。代わりにバイデン副大統領がアジア訪問の予定を立てている。
▽今後米国はアジアに対して、どう関与してくるでしょうか。日本に何を期待していると思いますか? 皆さんの考えを聞かせてください。
●日韓関係
日韓の結びつきは意外に強い。2012年の日韓貿易総額は1,032億ドル(財務省貿易統計では8.14兆円)。韓国にとって日本は第2位, 日本にとって韓国は第3位の貿易相手国だ。
一方で国民感情は悪化している。
昨年8月の李明博大統領の竹島上陸がきっかけだった。日本から韓国への投資額は減少。日本からの観光客も激減している。
朴槿恵大統領は就任式に参列した麻生元首相と会談した。麻生首相はその後靖国参拝し、改憲はナチスの手法に学んだらどうかと発言、韓国側が反発する原因となった。朴大統領の政治スタイルには韓国でも不満が出ている。さらに米国が日本の安保政策、とくに数段的自衛権行使に理解を示したことで、強硬だった韓国メディアも「首脳会談が必要だ」と主張を和らげている。
朝鮮日報より
いずれも日本観光庁調べ[i]
| 日本 | 日韓の課題 | 韓国 |
| わが国は今までも歴史問題などにしっかり取り組み、理解を得られるよう説明してきた(安倍首相) | 歴史認識 | 時代を逆行した発言をする指導部のせいで信頼関係を築くことができない(朴大統領) |
| 総理大臣は靖国参拝すべきであり、自分が以前総理大臣でありながら参拝しなかったことは慚愧に堪えない(安倍首相) 私人の立場で参拝したと理解している。個人の信教の自由に関する問題で、政府としては立ち入るべきはない。首相は適切に判断する(菅官房長官) | 閣僚の靖国参拝 | 責任ある政治指導者の靖国神社参拝は、韓日関係だけでなく、この地域の国家間の安定的な関係発展の障害となり、日本にも良くないことだ。参拝した人物が)依然として歴史に目を閉じていることを示しているもので、極めて嘆かわしい(韓国外務省スポークスマン) |
| 心も問題含め、対応した | 慰安婦問題 | 誠意ある対応を |
| 解決ずみ。[ii]韓国政府が適切な対応を | 元徴用工問題 | 裁判進行中 コメントせず |
| 流通しているものは安全、禁止解除を | 8県の水産物輸入禁止 | 国民の不安解消を |
| 積極的平和主義を目指す | 集団的自衛権 | 周辺国の理解を |
| わが国固有の領土 国際司法裁判所への提訴検討 | 竹島・独島 | 固有の領土 国際司法裁判所への提訴には応じず |
▽これまでの日韓関係は、政治家が個人的に築き、維持してきたものでした。世代交代が進む中、新しい時代の日韓関係はどんな内容にすべきでしょうか?
●日中関係
昨年9月の尖閣国有化以来対立解けていない。
中国内で経済的ダメージ広がり、景気減速の原因に。7月の日中貿易は6%減 6カ月連続マイナス[iii]、関係悪化で冷え込み続く。観光客は回復しつつある。
朝日新聞より
民間対話も 「非戦の近い」を盛り込んだ北京コンセンサスを発表するなど、危険な状態が続く。[iv]
▽米国は中国をパートナーと呼んでいる。日本は社会体制の違う中国をパートナーにできるでしょうか? 尖閣諸島の問題を解決する方法を考えましょう。
●日朝関係
金正恩体制で、日本に接近する傾向がある。日本にとっても韓国、中国と違い、歴史問題があまりなく、交渉しやすい環境がある。
ただ東京にある総連中央本部の土地と建物の競売がネックに。将来の大使館だからだ。安倍政権は圧力中心で、妥協しない姿勢を取っている。拉致問題の進展はいまのところ困難だが、タイミングをうかがっているのは間違いない。
▽拉致問題について、お聞きします。これはお金を払ってでも解決を図るべきですか。それとも、それとも圧力を掛けて、相手が折れるのを待つべきですか? あなたが首相になったつもりで答えてください。
●最後に
外交に正解はない。米国の国際政治学者モーゲンソーは、国力は次の9つで決まると述べた。「地理」「天然資源(食料と原材料)」「工業生産能力」「軍事力(技術、指導力、兵力の質と数)」「人口(人口分布と人口動態)」「国民の特徴」「国民のモラル」「外交の質」「政府の質」だ。最近では「核兵器」も加わるとの説もある。
▽日本の国力は今後上がりますか、下がりますか? 上げるためにはなにをすべきだと思いますか?
[i] http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html
[ii] 日韓協定第2条
両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
[iii] 中国税関総署が8日発表した貿易統計によると、7月の日中間の貿易総額は前年同月比6・1%減と、6カ月連続で前年水準を下回った。沖縄県・尖閣諸島をめぐる関係悪化で経済も冷え込みが続いていることが鮮明になった。貿易低調は中国の景気減速も要因で、両国企業の業績に影響を及ぼしそうだ。
日中貿易は中国での日本製品に対する不買運動などの影響で、2012年は通年で前年比3・9%減と3年ぶりに前年割れとなった。13年も1月は春節(旧正月)連休の時期が12年からずれ、営業日数が多かったためプラスになったが、2月からは再びマイナスに陥った。
7月は日本からの輸入が9・6%減と、10%前後のマイナスが続いた。対日感情の悪化を背景に、中国での日本製品の販売は十分に回復していないとみられる。日本への輸出は2・0%減だった。
[iv] http://tokyo-beijingforum.net/index.php/programs/9th/9th-beijing-consensus
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