日韓関係の現在、過去、未来
(11月30日)五味洋治



■対韓感情の変遷
図1 親しみを感じない人の割合が一番高かったのは1996年60・0% 2011年以降に急速悪化
図2 韓国に対する印象を「良い」と回答する日本人は2割、日本に対する印象を「良い」とする韓国人は2割弱。韓国に対する印象を「良くない」と感じている日本人は約5.5割、日本に対する印象を「良くない」と感じている韓国人は7割超。一般国民より相手国への渡航経験や直接交流を持つ割合が大幅に高い人の場合、相手国に「良い」印象を持つ割合が日本は41.7%、韓国は51.7%と一般国民に比べ比較的良い傾向にある。
■日韓間の数多い懸案
竹島[1] 慰安婦問題 朝鮮半島出身の「旧民間人徴用工」をめぐる裁判[2] 日本海呼称問題
仏像盗難事件[3] 東北8県の水産物禁輸[4]
■嫌韓本の登場
「悪韓論」2103年 室谷克実 タイトルに感情的な漢字を使う。
呆韓論/室谷克実/27万部 悪韓論/室谷克実/11万部 嘘だらけの日韓近現代史/倉山満/7万4千部 嘘だらけの日中近現代史/倉山満/7万8千部 侮日論/呉善花/3万部 日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか/竹田恒泰/46万部 日本人はいつ日本が好きになったのか/竹田恒泰/14万部[5]
■なぜ売れるのか
アマゾンの書評に現れる認識[6] 呆韓論の書評よりピックアップ
■ヘイトスピーチへの発展
背景になにがあるか
現政権との関係[7] 日本人の特質論[8] 韓国が原因を作った[9] 高学歴者が多い[10]
ヘイトスピーチ規制に対する日本国民の意識[11]
表現の自由とヘイトスピーチは対立する概念か?
海外での取締の事例[12] 国連人権規約委員会の勧告の重み[13]
■日韓で関係改善が進まない理由 過去とどこが違うか
1.経済面で深まる中国重視 日本との結びつきが見えず[14]
2.日本人と歴史問題の見えない出口 謝罪疲れ
3.指導者の歴史重視
4.積極的に仲介する人がいない
■日韓関係にメディアはどう影響しているか?
日本人は91.2%、韓国人は94.0%、「自国のニュースメディア」で相手を知る。
「テレビ」を挙げたのが日本人で82.1%、韓国人で74.6%と圧倒的。ただ、韓国では「インターネット」を挙げる人は20.0%あり、特に30歳未満では40%程度に高まっている。[15]
■日韓メデイアの現状
・反日報道だけでない韓国メディア(産経前支局長の起訴問題)
産経記事が事実確認もきちんとしなかった不十分なセンセーショナルな報道であったのは明らかだが(中略)、刑事処罰の対象になる根拠はない。それにも関わらず検察は大統領の冒とく云々の発言がなされるやすぐに捜査に着手し、起訴まで押し切った。
今回のことが政治的起訴だという批判がされるのはこのような事情からだ。その結果が現在の国際的な恥辱である。名誉毀損は被害者が望まない限り処罰されない罪だ。朴大統領は国家の恥になるばかりの今回の件はそろそろ収拾すべきだろう。[16]
加藤氏の記事は明らかに独身である女性大統領を卑下した。度を越える嫌韓、反韓がトレードマークの産経の体質の延長線上にある記事だ。(中略)にもかかわらずなぜ起訴が敗着なのか。実益がない。大統領と外信の対立が捜査にまで広がることは、数十年に1度あるかどうかだ。今回のことは、起訴の事実だけが残り、教訓はないだろう。[17]
■歴史問題とメディア
・朝日新聞への執拗な批判 国賊や売国奴を使う。戦前との共通点[18]
・加害者としての視点 日本のメディアは社会的弱者を取り上げることで社会の矛盾を告発してきたが、その視点は、うさんくさいと受け止められるようになった。[19]
■ メディアの責任
・東京の韓国特派員と、日本のソウル特派員の特質についての研究[20]
1.過度なエリート・ジャーナリズムの志向。取材源として政府官僚、新聞報道の偏重
2.匿名取材源の乱発、国際会議などで国家主義に陥る危険
3.特派員には所属国のメディアが派遣地に対する誤ったニュースを訂正する努力
・3・11東北大震災での韓国での報道
交通渋滞であったにも関わらず、誰一人としてクラクションを鳴らしていなかったということ。日本は普段からあまりクラクションが鳴り響かないところではあるが、道が混雑した状態であるにも関わらず、クラクションが鳴らなかったことにカルチャーショックを受けた。まるで異世界にいるような感覚すら覚えた。途中で渋谷も通った。そこでも列車は運休しており、数十万人の人が数時間かけて徒歩で帰宅していた。みんな、その状況を受け入れ、特に騒ぐ様子もなかった。[21]
・第4回日中韓報道陣セミナーでの論議(10月28日)[22]
メディアが関係を暖める役割はたすべき
文化、芸術の交流促進
ユネスコ世界無形文化遺産への共同登録
部数減で知恵を出し合う
・TeSOROの試み[23]
■政府間で何ができるか
・中国:課題を先送りし、いったん首脳が会う 長期的に改善[24]
・北朝鮮:長期の目標を立て、最も対立する問題で協議を重ねる
[1] 2012年8月10日、李明博前大統領が竹島に上陸。日本政府は強い遺憾の意と厳重な抗議。李明博大統領の天皇や日本に対する発言。
[2]2011年8月末、韓国憲法裁判所は、元慰安婦や原爆被害者らの個人の請求権問題に関する違憲審査の申立てにつき、韓国政府が日本と外交交渉を行わないのは「被害者の基本的人権を侵害し、憲法違反にある」との決定。同年12月、「韓国挺身隊問題対策協議会」(韓国のNGO)が在韓国日本大使館前に「碑」を建設。2013年8月、韓国外交部は、日本政府に対して請求権協定に基づく協議を再度求める旨のスポークスマン声明を発出。
[3] 2012年に日本の長崎県対馬市の三つの神社・寺院から、韓国人窃盗団によって重要文化財の仏像などが連続盗難された事件
[4] 2013年9月より。対象は福島、宮城、岩手、青森、群馬、栃木、茨城、千葉
[5] http://kimuramasahiko.blog.fc2.com/blog-entry-1162.html
[6] http://www.amazon.co.jp/product-reviews/481911235X/ref=cm_cr_pr_hist_1?ie=UTF8&filterBy=addOneStar&showViewpoints=0&sortBy=bySubmissionDateDescending
[7] 「現政権や保守派の改憲への動き、言動は排外主義グループに栄養を『供給』している」(安田浩一)「現政権のターゲットが、ヘイトスピーチのターゲットになっている」(辛淑玉)
[8]日本人が持つ差別意識、集団行動に流れされる国民性、民族としての優越性意識
[9]日本大使館前の慰安婦少女像、慰安婦の強制性をめぐる論議、朴大統領の日本への言及
[10]大卒の学歴(在学・中退者を含む)が、24人。京都大や東工大出身のエンジニアもいた。雇用形態面では正社員が30名(非正規職2名、その他2名)。ホワイトカラー(事務職)も22人で、ブルーカラー(6人)に比べて圧倒的に多かった。主に「高学歴の正規会社員」という、このような結果は、政治・社会的に主流ではなくて経済的な基盤が弱い人々が主に排外主義運動に参加するという従来の見解とは異なるものである。 (朝日新聞 13.10.5)
[11]
[12]1968年、偏見に基づく犯罪を取り締まるために「連邦保護活動法(KKK法)」導入、1990年「ヘイトクライム統計法」、1994年「ヘイトクライム判決強化法」が成立(米国)。公共秩序法 (Public Order Act 1986) によって、人種的嫌悪を煽動したものは最高7年の懲役に処される(英国)肌の色や人種、宗教、民族的出自、性的嗜好によって区別される集団に対する嫌悪を煽動した者は最低でも2年、最高で14年の懲役刑(カナダ)
[13]日本政府に対し、ヘイトスピーチ(憎悪表現)など、人種や国籍差別を助長する街宣活動を禁じ、犯罪者を処罰するよう勧告した。また、旧日本軍の従軍慰安婦問題についても、「国家責任」を認めるよう明記した。規約委は勧告となる「最終見解」の中で、ヘイトスピーチや「Japanese only」の表示など、外国人への差別をあおる行為が広がっているとして問題視。差別される側が「刑法、民法で十分に保護されていない」と懸念を示した。
[14]2013年韓中貿易額は2221億ドル、03年に米国に代わる中国が最大輸出国に。07年には日本に代わって中国が最大の輸出相手国に。今年上半期の日韓貿易総額は、429億7300万ドルと、前年同期比で9.8%減少。リーマンショックの影響で世界的に貿易が停滞した2009年以来の低水準(韓国各紙)
[15](言論NPO 第1回日韓共同世論調査 日韓世論比較分析結果13.05.6)
[16] ハンギョレ(2014.10.12)
[17] 東亜日報(2014.10.15)
[18] http://urx.nu/e1z9 毎日新聞
[19]佐々木俊尚著「当事者の時代」
[20] http://pweb.cc.sophia.ac.jp/s-yuga/file/HongEunhee08.pdf
[21]http://urx.nu/e2ak 韓国ネットの反応
[22] 新聞協会報 2014年11月18日号
[23] テソロ(Tesoro)は、韓国の全国紙「ソウル新聞」が日本で発行する月刊タブロイド紙。 「韓国のニュースをより正確に、豊かに、深く伝達する」をモットーに、2013年11月に創刊。韓国に関する情報が氾濫する中、弊紙が本当の韓国の姿を日本に伝えることで、日本社会の韓国に対する理解を深める一助となることを願います。時事、社会現象から文化、芸術、トレンドまで、多岐に渡る韓国事情など、ソウル新聞の記者をはじめとする日韓の執筆陣が、深く、分かりやすく解説します。
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[24] 日中関係の改善に向けた話合い 外務省 平成26年11月7日
日中関係の改善に向け,これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが,今般,以下の諸点につき意見の一致をみた。
3 双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。4 双方は,様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して,政治・外交・安保対話を徐々に再開し,政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。
http://urx2.nu/eIqA