ある所に寄稿した内容です。抜粋を掲載します。
米国の政治学者ブラウンリ(Brownlee)によれば、2次大戦以後2006年まで3年以上執権した258ケースの独裁国家事例中で権力世襲が試みられたのは、23件だった。10件に1件の割合となる。これだけ少ないのは、権力を家族のものにすることについて、批判が強いことが影響しているといえよう。
23件中で成功したのはわずか9件だったという。成功率は0.03%だ。しかもニカラグア、ドミニカ、ハイチ、トーゴなど中南米やアフリカなど、比較的開発の遅れた国だ。
アジアで成功した世襲の例としては、1975年、台湾の蒋介石(1949~1975年)から蒋経国(1975~1988)への総統職の継承がある。蒋経国総統の業績は台湾の歴史の上では大変重要なものである。「台湾を強国にした男」と言っても過言ではない。
シンガポールのリー・クアンユー(1956~2004年)から、1代別の首相をはさんだリ―・シェンロン(2004年~)への首相職の就任も評価が高い。
北朝鮮の金日成(1948~1994)から金正日(1994~2011年)への権力継承も、大きな波乱がなかったという意味では成功した例に挙げられるだろう。金正恩も世襲の成功例の候補になりそうだが、徹底した粛清による恐怖政治によるものであり、到底評価はできない。
世襲は若い独裁者に引き継がれる
独裁を継承し、世界から批判を浴びている代表的なケースが2つある。シリアのハフェズアル・アサド(1971~2000年)からパシャルアル・アサド(2000年~)への大統領継承だ。
2003年にはアゼルバイジャンのヘイダル・アリエフ(1993~2003年)から長男であるイルハム・アリエフ(2003年~)への大統領継承が行われ、これも民主化とはほど遠い方法で行われた。
世襲は、比較的若い後継者に対して行われることが多い。
ハイチの権力を世襲受けたデュヴァリエの年齢は19才、1961年ドミニカ共和国のマルティネジは32才、2003年アゼルバイジャンのアリエフは42才、2005年トーゴのクナシンベは39才だった。権力を取り巻くエリートたちが、若い指導者を利用して、自分たちの権益を守った結果だ。
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