ずいぶん変わったものだ。まるで、テレビニュース番組の司会者のようだった。
北朝鮮官営朝鮮中央TVが1日公開した金正恩党委員長の新年辞発表映像は「破格演出」に終始した。
まずは身なり。人民服ではなく縦縞の洋服でネクタイも締めている、朝鮮労働党の庁舎が映され、妹の金与正や、チョ・ヨンウォン党組織指導部副部長らを従えて自らの執務室に入り、午前9時から30分間肉声で新年辞を発表する姿を公開した。
金委員長は手に新年辞原稿と推定される書類を持っていた。
執務室は本棚が並び金日成主席,金正日国防委員長が業務をしている大きな写真がかかっていた。
この日の新年辞は1万 3000字に達したが金委員長は原稿に時々目を落とす以外は、まっすぐカメラを見て堂々とした風情で読み上げた。
演説の途中で、経済問題や南北首脳会談、北米首脳会談、北中首脳会談に言及するさいには、関連する写真をうつしだしていた。
過去の新年辞は、1人の指導者が原稿を読み上げる様子を延々と中継していたので、目新しかった。
演説のテーマを対外、国内に分けると、66%が国内問題だったという。
北朝鮮最高指導者が発表する新年辞は事実上の教示であり、あらゆる分野の事業計画を樹立するうえでの公的な指針となる。
これを勉強する会合も開かれる。
それだけに、この演説で、改めて「完全な非核化は、普遍の立場であり、確固とした意思」として
非核化の意思を表明したことは意義がある。韓国政府もその点を高く評価している。
ただし、正恩氏は演説で、米国が「米国が約束を守らず、一方的に何かを強要しようとして制裁や圧迫に向かうなら、仕方なく、新たな道を模索するほかない」とも主張し、米国をけん制した。
これについて韓国の保守系野党は「脅迫を使った演説であり、非核化の意思は疑わしい」と批判している。
非核化の意思は表明したが、過去の会見などとあまり変わっていない.点が気になる。
全体的には平和と経済を強調している。
目につくのは、経済制裁の重さを説いている部分だ。「苛酷な経済封鎖と制裁の中でも自分の力を信じて自分の手で前途を切り開きながら,飛躍的な発展を成し遂げた過去一年」と評価しているが、相当こたえているのだろう。
韓国との共同事業である開城工団と金剛山観光の「無条件再開」を正恩氏が提案したのも、厳しい経済状態克服のためだろう。
さらに正恩氏は「党と政権機関,勤労団体組織は、どんなことを計画して、展開しようが人民の利益を最優先,絶対視して人民の心の声に耳を傾けること」を要求し、人民が望んでいることは「無条件やり遂げなければなりません」と、行政関係者に住民優先を訴えている。
さらに、最近正恩氏は、不正腐敗の摘発に力を入れているとされるが、それをうかがわせる発言もあった。
「党と大衆の一体を破壊して社会主義制度を侵食する派閥勢力と官僚主義、不正腐敗の多様な行為らを踏みつぶしてしまうための闘争の熱度を高めなければなりません」という部分であり、政権内部で不正腐敗一掃運動を展開していることが裏つけられた。
さて、今後はアメリカの反応ということになる。
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