世界で最も危険な国とされるアフガニスタンで、井戸や用水路を建設していた医師の中村哲さんが、銃撃を受けて亡くなった。
死去を知ってから、中村さんの書かれたものを片っ端から読んでみた。その活動は幅広い。医療活動から始まり、自分で土木技術を学び、図面を引いて用水路を建設する。自分の体が動かなくなった時のために、後継者を育てる学校も計画していたという。
現地の人たちの文化や風習を尊重しながら援助する。それは実は、今の日本政府が忘れていることだ。
中村さん自身も、そのことに触れている。2010年に出版された「新しい風土記へ」(朝日新書)には、評論家、鶴見俊輔氏との対談が載っている。
中村さんは、「アフガンには反日感情が芽生えている」と語っていた。01年9月の米同時多発テロが起きた。アフガンにテロリストが匿われているなどとして、米軍などがアフガンを激しく攻撃した。
反日感情の原因は、「日本は自衛隊を派遣して米国の手伝いをしている」(中村さん)からだ。「日本人であるゆえに襲撃される危険が高まりつつある」とも話していた。
中村さんたちが用水工事をしている上空を、米軍のヘリが飛び交い、武器を搭載した米軍の車が通り過ぎていった。
「『殺さない』ということの1つの結実が憲法9条なんです。憲法9条を壊すことは日本の良心を壊すことだ」(同書)と警鐘も鳴らしていた。
岩波ブックレットの「アフガニスタンで考える」の中でも中村さんは、「強力な同盟関係を、ということがいわれます。そのためには憲法9条を改正しての武力行使もやむなし。しかし人殺しまでして豊かさを守ろうとするなら、少なくとも私は豊かになりたいとは思わない」と歯切れ良く語っていた。
平和国家を目指すといいながら、軍事大国化に突き進む日本。中村さんの命を奪ったのは、そんな日本の姿だったのではないか。
0 件のコメント:
コメントを投稿